「頑張ったね」兄の名前に涙

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共同通信
岩手県大船渡市の公園に設置された「芳名板」を見る遺族ら=11日午後

 晴れ渡った東北沿岸部では11日、遺族や住民が亡き人の鎮魂を祈り、復興を誓った。岩手県大船渡市の公園に設置された「芳名板」には、犠牲者400人以上の名が刻まれた。津波で兄の新沼幸蔵さん=当時(71)=を亡くした菊田幸子さん(71)は「兄の名前があるのはここで生まれ育った証し。『頑張ったね』と字が消えるぐらいなでたい」と涙ぐんだ。

 東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町の広場には色とりどりの折り鶴が飾られた。地震発生時刻の午後2時46分には、町立の義務教育学校「学び舎ゆめの森」の生徒らが黙とうをささげた。

 中学3年に当たる9年生の斎藤羽菜さん(15)は「たくさんの命が安らかに眠れますようにと祈った」と話した。

 福島県いわき市の沼ノ内漁港。タコを水揚げした小型船漁師の臼井紀夫さん(64)は津波で船を失い、原発事故で操業は一時全面停止に。昨夏には原発処理水の放出も始まった。能登半島地震で被害に遭った漁師の苦しみは痛いほど分かる。「いつか必ず希望の光が見えてくる。めげずに頑張ってほしい」と思いを寄せた。