漆器と光のコラボ「透ける津軽塗」

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共同通信
「透ける津軽塗」の技法を用いた試作品のルームライト。2024年1月

 青森県の工芸品・津軽塗の生産販売を手がける「たなか銘産」(弘前市)が、光を通す漆塗りの技法「透ける津軽塗」を開発した。ライトを当てると、伝統的な独特の模様がステンドグラスのように浮かび上がる。試作品としてルームライトの展示・販売を始めた。(共同通信=加志村拓)

 田中寿紀社長(41)によると、技法ではガラスやアクリルの素材に透過性のある透漆を使う。ライトが当たらない時は普通の津軽塗に見えるが、光を通せる厚さにするため、塗り方や研ぎ方に高度な技術が必要となる。

 職人と試作を重ね約10年かけて確立した。田中さんは「これまでにない光の表現ができる。可能性を広げたい」と話す。技法により、さまざまな商品分野への展開が期待される。

 ルームライトは一見すると立方体のオブジェのようだが、内側のライトがともると、赤やオレンジの光が浮かび幻想的な表情を見せる。オーダーメード方式で、デザインや形によるが価格は7万~8万円から。

 津軽塗は約300年の歴史があり、漆を塗り重ねて研ぐ工程の多さが特徴で「バカみたいに手間がかかる」ことから「バカ塗り」とも呼ばれる。

 同社は「時代に合わせた変化こそ伝統」がモットーで、これまでスマートフォンケースやスプレーボトルなど、従来の枠にとらわれない商品を生み出してきた。

 高度な技術が求められる一方、伝統的なノウハウを継承している部分も多い。田中さんは「変えすぎないことが大切。100年前の職人に見せても恥ずかしくないものを作りたい」と熱意を込めた。

開発した「透ける津軽塗」のサンプルを見せる「たなか銘産」の田中寿紀社長。2024年1月