欧米で和食文化普及に尽力

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共同通信
宝酒造が欧州向けに生産している「松竹梅『Kaori』」

 海外向けに酒や食材の卸事業を展開する宝酒造インターナショナル(京都市)は、欧米で日本の食文化の普及に注力している。現地の好みに合わせた酒の開発のほか、和食や日本酒のプロを育てる講義も開催。和食レストランの店舗数が増加する中、飲食店向けの販売網を活用し「SAKE」文化の浸透を図る。

 2023年9月、米国の子会社がロサンゼルスで現地の飲食店関係者向けに主催した展示会には、約2500人が訪れた。

 包丁などのコーナーには行列ができ、ラーメンや和牛に舌鼓を打つ人々で盛り上がった。

 宝酒造インターナショナルは、宝ホールディングス傘下の宝酒造から海外事業を分社化するため、2017年に設立。食材のほか包丁や食器の卸事業も手がけ、得意先の8割以上が飲食店だ。2022年度のグループの売上高は1374億円だった。

 農林水産省の集計によると、2023年の米国の和食レストラン数は、2013年の約1万7千店から約2万8600店に増えた。欧州でも、約5500店から約1万6400店まで伸長している。

 米国や欧州での事業を強化する方針を打ち出しており、2024年2月現在、米国には11州13拠点を構える。

 森三典(もり・みのり)社長は「成長が見込めるエリアで拠点を増やす」と強調し、合併・買収や子会社の事業所開設で20拠点以上に拡大するとした。欧州には英国やフランスなど11カ国に拠点があるが、他の国への進出も目指す。

 米国で子会社が開催している講義では、すしをテーマに包丁の研ぎ方や魚の切り方を紹介する。日本酒と料理の組み合わせを学ぶ講義もある。

 宝酒造とも連携し、スパークリング日本酒「澪」を43カ国に輸出する。欧州向けに果実の香りを楽しめる「松竹梅『Kaori』」を展開するなど、現地消費者の好みに合わせた酒の開発も進める。森氏は「和酒をワインと肩を並べるように成長させる」と意気込んでいる。

 森氏は、和食は高価なイメージが根強いとして、レストランでの実食や大衆化が必要だと指摘。具材を見直した手巻きずしの販売などを例に挙げ「より安価で日常的に食べてもらえるメニューを提案し、日本食文化の浸透を目指す」としている。

インタビューに答える宝酒造インターナショナルの森三典社長
宝酒造インターナショナルの子会社が米国で開催した展示会の和牛コーナー=2023年9月