釈放10年、再審公判続く

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共同通信
浜松市の自宅で、保護猫とふれあう袴田巌さん=2月

 1966年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)が、再審開始を認める決定と死刑執行停止により釈放されてから27日で10年となる。再審確定まで時間を要し、2023年10月に公判が始まったが、長期収容による拘禁症状のため、出廷免除が続く。再審を巡る法制度の見直しを求める声も強まっている。

 姉ひで子さん(91)と故郷の浜松市で暮らす。直後は無言で家中を歩き回っていたが、腰かけでくつろいだり、支援者の車で出かけたりするなど徐々に変化が表れた。

 今年2月、支援者の計らいで保護猫2匹を飼い始めた。

 一方で、現実と妄想が混在する症状は変わらない。男性が訪れると、トイレにこもるなど警戒心が強くなる。

 再審公判は23年10月に始まった。国井恒志裁判長は「被告人として自己が置かれている立場を理解することができない」として出廷を免除。補佐人となったひで子さんは「無罪になったら、巌に裁判のことを話すつもり」と語る。今年5月22日に結審する見通しで、判決は夏ごろとみられる。