歯医者さんから教わる、毎日の口腔内ケア 秋本歯科医 

歯医者さんから教わる、毎日の口腔内ケア 秋本歯科医


ニューヨークで歯科医院を開業して25年以上の秋本浩子先生に、
毎日の歯磨きや定期検診の重要性についてお話しを伺いました。

秋本歯科医院
歯科医師 秋本浩子

1990年鶴見大学歯学部卒業。
1997年ニューヨーク大学歯学部卒業。 ニューヨークで開業して 25 年。一般、小児歯科。 日米歯科医師免許証保持。

 

定期検診について

定期検診を受けていただく頻度は大人も子どもも同じで、6カ月に一回、一年に2回受けていただくのが理想的です。ここでは、歯が正しく磨けているかどうか、虫歯があるかどうか、虫歯があった場合にどのような歯科治療が必要かどうか、歯肉の状態がどうか、などを細かく調べていきます。例えば、虫歯がそこで発見されてしまっても6カ月ごとに検診を受けられている患者さんですと、初期の段階で見つけることができますので、簡単な歯科治療で済ませることができます。しかし、歯科検診に来られない患者さんの場合、すでに痛みや腫れが出ているなど、来院された段階で大きな虫歯になっており、大ごとになっていることが多々見受けられます。これは大掛かりな歯科治療が必要となり、治療時間はもちろんのこと、治療費も高額になってきます。患者さんがお持ちの医療保険によってはカバーしきれない場合もありますので、早期発見のためにも定期的な歯科検診の受診を強くお勧めいたします。

歯科検診の具体的な内容については、初診の大人の患者さんの場合はX 線を撮影します。X線は歯一本ずつの様子をしっかり把握するために、18枚ほど撮影をします。これは毎回の検診で撮影するわけではなく、3年ほどを目やすに行います。患者さんが加入している保険によってカバーされる期間が異なるため、患者さんに相談した上で進めています。

診察では、18枚のX線画像、目視、触診を行い患者さんの口腔内環境を把握します。これにより、治療済みの詰め物の確認、親知らずの状態なども細かく記録することができます。歯の状態に問題があれば、患者さんがお持ちの医療保険によって今後の治療方針を相談しながら決めていくという流れになります。インネットワークの当院では歯科検診がカバーされる保険をお持ちの方が多いです。歯科治療は加入されている保険によりカバー率が人それぞれ違います。自己負担が発生する患者さんには、治療前におおよその見積もりを提示するなど、納得のうえ前向きに治療に取り組んでもらえるようにしています。

口腔内診査後クリーニングをします。クリーニングは日々の歯磨きやフロスで取り除けなかった歯石や着色をしっかり除去します。歯垢や歯石の状況から、日々の歯磨きで磨けていない部分などが判明しますので、歯磨きやフロスのアドバイスも行います。問題がなければ次回は6カ月後にまた来院してもらいます。

当院の歯科検診は、大人も子どもも基本的には同じ流れになっています。一つ異なる点は、私の場合、子どもにはなるべくX線の撮影を控えるようにしています。目視、触診を行い、大きな虫歯が疑われる部分のみX線の撮影を行うようにしています。18歳以下の子どもには、クリーニング後フッ素塗布を行います。

 

虫歯予防の重要性

アメリカでは「予防」が一番大切になります。歯科治療について、日本とアメリカを比較する方が多くいらっしゃいます。国が違うということで、まず歯科保険のシステムが大きく違います。お勤め先の会社が加入されている歯科保険により治療費も異なります。アメリカの良いところは、保険内でとても良い材質のものが口腔内に入れることができます。虫歯の治療は初期段階での発見が最も重要ですので、定期検診の段階でX線撮影を行い、細かく調べていきます。日本の保険では予防段階でX線撮影は適用とならず、歯に痛みや腫れが生じてからX線撮影を行うため、すでに大ごとな治療が必要となってしまうことが多いです。また、日本では、1枚のX線で全体像を見るパノラマX線が主流だと思います。これは、歯の細部までは写りませんので、当院では虫歯治療のために使用しません。主に顎の形など骨格の確認、親知らずの状態や、歯科矯正のための歯並びを確認する時に役立ちます。

また、当院では検診で患者さんへの日々の歯磨きについてもしっかり指導をしています。厳しいと感じられる患者さんもいらっしゃいますが、日々の歯磨きで歯槽膿漏や歯周病などを予防することができます。歯科医による日々の歯磨き指導は大変重要となってきます。

また、歯磨きと同じくらい重要なのがデンタルフロスです。日系施設で歯磨きの講習などを行うと、デンタルフロスを毎日使っていない方が多く見受けられます。デンタルフロスは歯ブラシでは取りきれなかった歯垢などを除去するのに必ず必要です。歯磨きは歯ブラシ+デンタルフロスと理解していただくと良いと思います。

 

子どもの頃からの習慣づけ

お子さんの虫歯の原因の多くは、日々の歯磨きが十分でないことです。お子さんはまだ自分の歯を隅々まできれいに磨くことができませんので、親御さんの仕上げ磨きとデンタルフロスが必ず必要です。親御さんは根気よく日々の歯磨き習慣を身につけてあげましょう。そして、6カ月に一回の定期検診もお子さんの暮らしの一部として習慣づけしてあげることが最も重要です。

ニューヨークで開業し、多くの日本人の患者さんを診察しています。大人の患者さんの口腔内を診察し、とても正しく歯磨きができていて、歯科治療が必要なく、歯肉の状態もよく清潔な方は、幼少期にバランスのよく取れた食事をとり(特にカルシウム)、お菓子、ジュース類を制限された時間に適量とり、ご両親の仕上げ磨きがしっかりできていたのだとわかります。子どもの頃から口の中を綺麗に保つ癖をつけておくと、長い人生で歳をとっても、ずっと自分の歯でおいしく食事がとれ、健康でいることができることでしょう。

 

 

 

秋本歯科医院
110 E. 40th St, Suite 503, New York, NY 10016
Tel 212-545-1313