フランスと日本の文化が融合したラグジュアリー日本酒ブランド「Heavensake(ヘブンサケ)」。製造・パッケージともに日本国内で完結するこのブランドが、日本市場に登場したのはなんとブランド設立から約7年後の昨年秋。創業の地であるヨーロッパやアメリカ、アジアでその地位を確立したのち、満を持して “逆輸入” という形で帰国を果たしたのだ。

「日本で販売するまでに、日本酒の新たなカテゴリー、コンセプトを十分に証明したかったのでこのタイミングがふさわしかった」と、Heavensakeのグローバルマネージャー、ザック・グロスさん(Zak Gross)は語る。

◆ Heavensakeとは?
Heavensakeは、「シャンパンの巨匠」レジス・カミュ氏(Regis Camus)と日本各地の名門酒蔵がコラボレーションすることで生まれた、唯一無二のブランド。発案当初、レジス氏は「私は日本酒を作らない」と言い切っていたが、その後、彼の専門技術である「アッサンブラージュ(複数原酒のブレンド)」を日本酒に応用することで、まったく新しい味わいの創造に成功した。

この技法によって、同ブランドは “ワイン感覚で楽しめる日本酒” という新たなジャンルを築いた。日本酒をDNAに持ちつつ、まるでワインやシャンパンのような風格と洗練を併せ持っているのが特徴だ。

Heavensakeの商品は、日本を代表する酒蔵とともに開発されている。獺祭をはじめ、新澤醸造店、浦霞、勝山、小西酒造などが名を連ねる。獺祭との初コラボ時、レジス氏は蔵に数日滞在し、製造工程を学んだ上で一緒にブレンドを実施。そのプロセスを通じて、伝統のエッセンスを保ちながらも「新しくて斬新な」酒を生み出すことが目指された。
◆ 教えて!季節のイチオシ銘柄は?
Junmai 12
コラボ酒蔵:兵庫県の家族経営の「小西酒造」
塩キャラメルの香りと明るく爽やかな後味を持つ「Junmai 12(ジュンマイ・トュエルブ)」は、従来の日本酒よりもアルコール度数(12%)とカロリーが25%抑えられている。ゆったりとした午後やビジネスランチにぴったりで、チーズ、肉料理、リゾットなどに最適どんな料理にも合わせやすいく、ロゼや白ワインの代わりにも。

Label Azur
コラボ酒蔵:330年続く宮城県の老舗酒造「勝山」
桃やペストリーがほのかの香る純米大吟醸「Label Azur(ラベル・アズール)」は、寿司のおまかせコース、また野菜の天ぷらやタルトタタン、グリルしたエビとの相性が抜群。赤ワイン、辛口白ワイン好きにぴったりな日本酒。

◆ 日本酒が「どんな国でも当たり前に並ぶ時代に」
同ブランドの試みは、保守的な印象の強い日本の酒造業界にも新風を巻き起こしている。伝統的な酒蔵もその独創性と完成度の高さに驚き、コラボレーションが加速。アルコール消費が減少する中、新たな層に日本酒を届ける存在として期待が高まっている。

これから5年、10年先、Heavensakeはどこへ向かうのか? ザックさんは、「ロゼやテキーラは10年、20年前はメニューにも載っていなかったけど、今や世界中のレストランで親しまれている。そのように日本酒もどんな料理ジャンル、どんな国でも当たり前に並ぶ時代が来ると信じています」と語る。
その実現に向けては、ソムリエの育成や日本酒の正しい発音・分類の教育、日本酒を使ったカクテルの普及など多面的なアプローチが必要とされる。Heavensakeは、世界のレストラン、バーテンダー、シェフ、酒蔵、コミュニティと連携しながら、“次なる世界酒”としての日本酒の新たなカテゴリーを確立していく考えだ。
提供/Heavensake
取材・文/ナガタミユ
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