日本企業も集まるニューヨーク・ミッドタウンのオフィス街で28日夕、男性がライフル銃を乱射し、警官を含む4人が死亡した。「マスシューティング(銃乱射事件)」の定義とされる4人以上が死亡するケースが、銃の保持を厳しく禁止しているニューヨークで起きるのは、極めてまれだ。容疑者は、西部ネバダ州から車でニューヨークにたどり着き、たやすくライフルを持ち込めた。米大都市の中で比較的安全とされるニューヨークでも外部から銃を持ち込めるという盲点があった。

犯行を起こしたシェイン・タムラ容疑者(27)は、ネバダ州ラスベガス在住。犯行に使ったライフル(M4自動小銃)の免許と、公共の場で銃器を隠し持つ許可を同州で得ていた。しかし、犯行当時はライフルをむき出しで持ってビルに向かい、ロビー付近で勤務していたニューヨーク市警察(NYPD)の警官ら2人を射殺。エレベーターに乗って33階に行き、ビル管理会社ルーディンマネージメントのオフィスでさらに2人を撃ち、直後にライフルで胸を撃って自殺した。
ABCは、タムラ容疑者がポケットに入れていたメモの内容を入手。ビルに入居するナショナル・フットボール・リーグ(NFL)が、利益追及のあまり、プレーが選手の脳に及ぼすダメージを隠していると批判していたという。2ページ目には、慢性外傷性脳症(CTE)への言及があり、「自分の脳を研究してほしい。すまない」とあった。CTEは、アメフト選手やボクサーが患うことがあるトラウマで、記憶や思考力にも影響を及ぼすことがある。
タムラ容疑者は高校時代、ロサンゼルスのアメフト選手だったが、CTEにつながる事故や診断はなかったという。
ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長はメディアに対し、「容疑者はNFL本部を狙っていたようだが、違う階に行くエレベーターに乗ってしまったらしい」と話している。

襲撃されたビル、パークアベニュー345番地には、NFLの他、世界最大の資産運用会社ブラックストーン、会計監査会社KPMGなど優良企業が多く入居。2ブロック南には、世界の要人が定宿としてきた高級ホテル、ウォルドルフ・アストリア、その南側に在ニューヨーク日本国総領事館が入るビルもある。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は29日朝、声明を発表。「ニューヨーク州は、軍隊で使う殺傷武器を禁止している。危険な調達ルートもクローズした。しかし、銃乱射事件を起こすために他の州から殺傷能力の高い自動小銃が持ち込まれたら、ニューヨーク州の法律も及ばない」として、銃の保有が自由な州を批判した。
死亡したのは警備員として勤務していた警官の他、ブラックストーン傘下の不動産投資信託の最高経営責任者(CEO)などを務めるウェスリー・ルパトナー氏(43)など計4人(英BBCによる)。
取材・文・写真/津山恵子
RECOMMENDED
-

客室乗務員が教える「本当に快適な座席」とは? プロが選ぶベストシートの理由
-

NYの「1日の生活費」が桁違い、普通に過ごして7万円…ローカル住人が検証
-

ベテラン客室乗務員が教える「機内での迷惑行為」、食事サービス中のヘッドホンにも注意?
-

パスポートは必ず手元に、飛行機の旅で「意外と多い落とし穴」をチェック
-

日本帰省マストバイ!NY在住者が選んだ「食品土産まとめ」、ご当地&調味料が人気
-

機内配布のブランケットは不衛生かも…キレイなものとの「見分け方」は? 客室乗務員はマイ毛布持参をおすすめ
-

白づくめの4000人がNYに集結、世界を席巻する「謎のピクニック」を知ってる?
-

長距離フライト、いつトイレに行くのがベスト? 客室乗務員がすすめる最適なタイミング
-

機内Wi-Fiが最も速い航空会社はどこ? 1位は「ハワイアン航空」、JALとANAは?
-

「安い日本」はもう終わり? 外国人観光客に迫る値上げラッシュ、テーマパークや富士山まで








