2025年9月8日 Miki COLUMN

『ちょっと得するNY20年主婦のつぶやき』(12)秋の新習慣にぴったりな「最強トレーニング」

写真はイメージ(photo: Unsplash /Kristian Egelund )

夏休みも終わり、いよいよ9月。外での活動が気持ちのいい季節となり、「運動の秋」にむけて、様々な運動を考えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、ゆるくて地味だけど、最強のトレーニング – 「Zone 2トレーニング」についてお伝えします。

写真はイメージ(photo: Unsplash /Kristian Egelund )

Zone 2トレーニングとは、運動強度を測定する際に専門家が使用する「心拍数ゾーン」システムに基づいていて、最大心拍数の60〜70%程度の中程度の強度で行う有酸素運動のことです。

「速く走ることが、運動だと思っていた」「汗をかいて、息が上がってこそ『運動』だと信じていた」けれど最近のフィットネスのトレンドは少し違います。ゆっくり長く運動する、それが同トレーニングの特徴です。目に見えるシックスパックを約束してはくれませんが、私たちの体の奥深くの細胞と私たちの習慣を鍛えてくれます。

心拍数トレーニングゾーン一覧表

Zone強度レベル最大心拍数に対する割合運動の例特徴
Zone 1ごく軽い運動50〜60%ゆっくり歩く、ストレッチなどウォームアップやクールダウンに最適。疲労回復向け。
Zone 2中程度の強度60〜70%速歩、軽いジョギングなど会話が可能なペース。脂肪燃焼や持久力強化に効果的。
Zone 3やや高い強度70〜80%安定したランニング、自転車など呼吸がやや苦しくなる。心肺機能と筋持久力の向上に効果的。
Zone 4高強度80〜90%スピードランニング、坂道走、HIITなど息が上がる。短時間のみ持続可能な強度。
Zone 5最大強度90〜100%全力ダッシュ、インターバルトレーニングなど会話不可能。最も激しい運動。競技向け。

Zone 2以下の低強度の運動では、私たちの身体は主に脂肪をエネルギー源として使用します。脂肪は非常に効率的な燃料ですが、代謝するためには多くの酸素が必要です。

運動の強度が上がるにつれて、炭水化物(特に体内に蓄えられているグリコーゲン)が主なエネルギー源へと切り替わります。

Zone 2は、脂肪をメインに使いつつ、炭水化物が主なエネルギー源に変わる「クロスオーバーポイント」を越えないギリギリの運動強度を指します。

この境界線を超えてしまうと、無酸素運動状態に入り、炭水化物が主な燃料となり、乳酸(ブドウ糖代謝の副産物)が蓄積し始めてしまいます。

自分だけの心拍数を見つける方法

このZone 2トレーニングを正しく行うためには、自分のZone 2心拍数範囲を把握することが重要です。心拍数範囲は、以下のように簡単に求められます。

Step 1:まずは、最大心拍数を求める
最大心拍数は次の計算式で求めます。 220 − 年齢 例)40歳の場合:220 − 40 = 180 bpm

Step 2:安静時心拍数を測る
朝起きてすぐ、リラックスした状態で1分間脈拍数を数えます。 例)(安静時心拍数)が 70 bpm の場合

Step 3:心拍予備域を求める
(心拍予備域) = (最大心拍数)(安静時心拍数):180 − 70 = 110 bpm

Step 4:Zone 2の心拍数範囲を求める
Zone 2は、(安静時心拍数)に、(心拍予備域)の60〜70%を加えた範囲です。
下限:(安静時心拍数)+(心拍予備域) × 0.6 → 70 + 110 × 0.6 = 136 bpm
上限:(安静時心拍数)+(心拍予備域) × 0.7 → 70 + 110 × 0.7 = 147 bpm

あなたのZone 2心拍数範囲は136〜147bpmです。

感覚的にいうと、息が切れずに、短い文章を自然に話せるくらいのペースです。息が少しでも苦しく感じたら、強度が高すぎるサイン。会話はできるけれど、歌は歌えない程度が、理想的なZone 2の運動強度なのです。

写真はイメージ(photo: Unsplash /Charles Gaudreault)

どのように、どれくらいトレーニングをすればいいの?

Zone 2トレーニングでは、「量」が重要です。フィットネス専門家のクリスル氏によると、会話ができるほどのスピードで、ゆっくり走る、あるいは早めに歩く、軽いジョギング、バイク、スイミングなどを、1時間 × 3〜4回 / 週 × 12週間の継続が目安とのことです。

このZone 2トレーニングでは、忍耐力も試されます。なぜなら、多くの人がこのような中程度の強度の運動を1時間もしていると退屈になるからです。運動中に聞く好きな音楽やポッドキャストなどを十分に溜めておくのがコツです。

◆ まとめ – まず、減量に非常に効果的

1. 脂肪燃焼に最適な強度

Zone 2トレーニングは、主に脂肪をエネルギー源として使います。脂肪は、酸素を多く必要としますが、長時間安定して燃焼できます。そのため、このゾーンでの運動は持続的な脂肪燃焼を促します。

2. 無理なく長時間続けられる

Zone 2トレーニングは、息切れしない程度のペースなので、長時間続けやすく、消費カロリーも大きいです。継続しやすいため、リバウンドしにくく、健康的なダイエットとなります。

3. インスリン感受性が改善し、体脂肪が蓄積しにくい体に変化

Zone 2トレーニングを続けると、インスリン感受性が向上し、血糖値が安定しやすくなり、脂肪の蓄積が抑制されます。

4. 基礎代謝の向上にもつながる

Zone 2トレーニングは、ミトコンドリアの密度を増やし、代謝効率も改善します。その結果、運動していない時でも、基礎代謝が上がり、痩せやすい体質へと導いてくれます。

このZone 2トレーニングでは、継続がポイントとなります。そこで、食事管理と併用すれば、より効果的になります。極端なダイエットよりも健康的に脂肪を落としたい人に、理想的な運動方法です。

整えているのは、体脂肪だけじゃない

Zone 2トレーニングで整えているのは、体脂肪だけではありません。このトレーニングの習慣を通じて、乱れていた生活リズムや不安定だった気持ち、忘れていた自分らしさなどが少しずつ整いはじめます。ゆっくりではありますが、着実に整っていくのを感じることでしょう。激しさや速さといった数字に縛られない運動で体が整ってくると、思った以上に心も整ってきます。まずは、体重を気にするよりも、心身が整ってくることに意識を向けましょう。

写真はイメージ(photo: Unsplash /Huckster)

【今日のひとこと】

インキュベートの法則(21日間=3週間の法則)というのがありますよね。私たちの脳は「慣れたもの」を好みます。いつも通りのやり方に留まろうとします。だから、新しい挑戦は、たいてい不快で、どこか居心地が悪い。でもたった一つの行動でも、3週間繰り返すだけで、脳はだんだん抵抗をやめはじめます。変化は、まさにその瞬間に始まります。「意思」は繰り返しによって、初めて自分を変える力になります。「ぎこちなかった行動」にも次第に慣れ、「反復行動」はやがて「習慣」となり、その「習慣」が「あなたらしさ」をつくっていきます。

でも本当に大事なのは、その後の3カ月間です。この3カ月を乗り越えたとき、それはもはや「習慣」ではなく、あなたの一日の「生活のリズム」となり、「あなたらしさ」になります。

自分を変えたいなら、まず「考え方」ではなく、「行動」を変えましょう。3日間は誰でもできる。3週間は、意志を育て習慣に変える。3カ月続ければ、自分が変わる。運動は「情熱」より「習慣」、たまに激しくやるよりも、軽くても継続してやることが大切だと思います。

                       
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