アメリカの感謝祭(Thanksgiving)といえば、日本の正月のように家族や親族が一堂に会し、七面鳥を中心としたごちそうを囲む伝統的な祝日だ。その感謝祭で近年、静かに広がっているトレンドがある。食事前に「散歩をしてくる」などと言って、いとこや兄弟など数人で外出し、密かに大麻を吸ってから食卓に戻るという「カズンウォーク(cousin walk)」だ。ウォール・ストリート・ジャーナルが21日、伝えた。

例えば、「犬の散歩に行く」「氷を買ってくる」と言って数人が席を外し、戻ってきた途端になぜかあなたのジョークに大笑いし始める。そんなとき、あなたの話術が急に冴えたのではない。彼らが“ハイ”な状態で戻ってきただけかもしれない。
かつては一部の大麻愛好家だけが楽しむ非公式な行動に過ぎなかったカズンウォーク。しかし、医療用大麻が40州で合法化され、その過半数の州で嗜好用大麻も認められる現在、この慣習はもはや感謝祭の“もう一つの伝統”として定着しつつある。大麻関連業界も、その商機を逃してはいない。
カズンウォークの他、感謝祭散歩(Thanksgiving walk)や食前安全会議(pre-dinner safety meeting)などさまざまな名称で呼ばれるこの慣習は、感謝祭前日の「グリーンウェンズデー(大麻版ブラックフライデー)」の大麻の売上に大きく貢献している。販売店によると、4月20日の「420(大麻の日)」に次ぐ年間第2位の売上日となることが多いという。
ワインの代わりに、大麻グミやTHC入り飲料でリラックス
感謝祭の定番料理である七面鳥に大麻成分を加える人も現れ、家族の前でテトラヒドロカンナビノール(THC、大麻の精神活性成分)入りのグミや飲料を手に取る光景も珍しくなくなってきた。ブルームバーグインテリジェンス(BI)のアナリスト、ケネス・シェイさんは、「感謝祭でアメリカ人の多くが、アルコールの代わりに電子たばこ型の大麻吸引器や大麻グミ、THC入り飲料を選ぶようになっている」と話す。アメリカのアルコール消費量は数十年ぶりの低水準に落ち込んでいるが、健康への懸念に加え、食欲や飲酒欲を抑えるGLP-1系減量薬の普及と大麻利用の拡大が背景にある。BIが9月に実施した調査では、全体の約51%が「少なくとも週1回はアルコールの代わりに大麻を摂取している」と回答。前年より約5ポイント増えた(22日付ブルームバーグ)。
食品・飲料企業もこの現象に便乗している。ピーナツバターのJifやドレッシングメーカーのヒドゥンバレー(Hidden Valley)は昨年、カズンウォークを題材にした広告を展開。ニューヨークの大麻販売店Gothamは、散歩時に持ち運びやすいプレロール(巻済み大麻)ケースを広告で売り込み、業界団体、大麻メディア評議会(The Cannabis Media Council)は、65歳以上を対象としたカズンウォークの公共広告を開始した。
一方で、こうした拡大に反発する声もある。連邦議会は今月、合法ヘンプの定義を大幅に狭める法案を可決。これにより、THCを使用したグミや飲料など、全米で販売されている製品が新たな規制対象となる。ただし、州の規制下で営業する大麻販売店はこの変更の影響を受けない。
RECOMMENDED
-

客室乗務員が教える「本当に快適な座席」とは? プロが選ぶベストシートの理由
-

NYの「1日の生活費」が桁違い、普通に過ごして7万円…ローカル住人が検証
-

ベテラン客室乗務員が教える「機内での迷惑行為」、食事サービス中のヘッドホンにも注意?
-

パスポートは必ず手元に、飛行機の旅で「意外と多い落とし穴」をチェック
-

日本帰省マストバイ!NY在住者が選んだ「食品土産まとめ」、ご当地&調味料が人気
-

機内配布のブランケットは不衛生かも…キレイなものとの「見分け方」は? 客室乗務員はマイ毛布持参をおすすめ
-

白づくめの4000人がNYに集結、世界を席巻する「謎のピクニック」を知ってる?
-

長距離フライト、いつトイレに行くのがベスト? 客室乗務員がすすめる最適なタイミング
-

機内Wi-Fiが最も速い航空会社はどこ? 1位は「ハワイアン航空」、JALとANAは?
-

「安い日本」はもう終わり? 外国人観光客に迫る値上げラッシュ、テーマパークや富士山まで








