ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は6日、余命6カ月未満の末期患者に対する医療的死(尊厳死、または安楽死)の援助を認める法案に署名した。通常は署名と同時に施行となるが、法案の施行日を署名後6カ月後に延期。州保健省が法施行に必要な規則を整備すると同時に、医療施設がコンプライアンス対応のための職員を適切に準備・訓練する時間を確保する。

ホークル知事は声明で「ニューヨーク州は、終末期患者が尊厳と思いやりをもって平穏かつ安らかに人生を終える権利を含む、ニューヨーク州民の自由と身体的自律権を常に堅固に守る」と明言。「この道のりは私にとって深く個人的なものだった。母が筋萎縮性側索硬化症(ALS)に苦しみ、愛する人の痛みを和らげる術がないと悟った時の体験は、耐え難いものだった。法案提出者、医療専門家、支援団体、そして何より同様の直接的経験を持つ家族との長年にわたる深い議論を経て、この結論に至った。ニューヨーク州民は、命を縮めるのではなく、死の苦痛を短くする選択をすべきだ。私たちが正しい決断を下したと確信している」と述べた。
議会で可決された法案には当初、患者が医療的死の援助を選択するよう強制されないこと、医療従事者や宗教系医療機関が医療的死の援助を提供することを強制されないことを保証する複数の保護条項が含まれていた。知事は議会と協力し、末期状態のニューヨーク州民が自らの意思で安らかに死を迎える選択肢を確保しつつ、人々が不当に利用されないよう追加の安全策を盛り込んだ。具体的な内容は下記。
• 処方せんが発行後から調剤されるまでの間に5日間の待機期間を義務付ける
• 患者による安楽死の医療的援助の口頭での要請は、動画または音声で記録されなければならない
• 安楽死を求める患者に対し、心理学者または精神科医による精神健康評価を義務付ける
• 患者の死亡により金銭的利益を得る可能性のある者は、頭要請の立会人または患者の通訳を務めることを禁止する
• 安楽死の提供対象をニューヨーク州居住者に限定する
• 医師による患者の初回評価は対面で行うことを義務付ける
• 宗教的指向を持つ在宅ホスピス提供者が医療的自殺幇助の提供を拒否することを認める
• 本法違反を教育法上の専門職倫理違反と定義する
• 法案の施行日を署名後6カ月後に延期し、保健省が法施行に必要な規則を整備すると同時に、医療施設がコンプライアンス対応のため職員を適切に準備・訓練できることを確保する
アメリカ国内で尊厳死を認めている州
カリフォルニア、コロラド、デラウエア、ワシントンD.C.、ハワイ、イリノイ、メーン、モンタナ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、バーモント、ワシントン州。
尊厳死を今年、検討している州
アリゾナ、インディアナ、アイオワ、ケンタッキー、マサチューセッツ、ミネソタ、ミズーリ、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ロードアイランド、テネシー、バージニア州。(出典:Death with Dignity)
尊厳死を認めている国
オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、コロンビア、スペイン、カナダ、ニュージーランド、およびオーストラリアの一部州などでは合法。耐え難い苦痛や末期疾患による生命の終結を認めている。一方、スイスなどの管轄区域では特定の条件下での自殺幇助を許可している。規制は大きく異なり、未成年者(ベルギー、オランダ)や精神疾患(オランダ、ベルギー、スペイン、コロンビア)を対象とする国もある。
日本の尊厳死を巡る状況
日本では、能動的安楽死と自殺幇助は依然として違法であり、これを規制する正式な成文法が存在しないため、過去の判例に基づく司法判断に依存しているのが現状だ。尊厳死=受動的安楽死/治療の中止については議論があるものの、法的枠組みが存在せず、医師は法的なグレーゾーンに置かれている。日本尊厳死協会が事前指示書の普及を提唱する一方、リビングウィルには法的拘束力がない。近年、ALS患者を巡る注目事件や報道が相次ぎ、個人の自律性と法的・社会的・家族的配慮の間の緊張関係が浮き彫りとなっている。
法的状況: 自殺幇助および積極的安楽死は違法であり、刑法に基づき起訴される。1995年の東海大学安楽死事件*などの司法判断により、「合法的」消極的安楽死に対する厳格な非法定基準が確立されたが、積極的措置は依然としてタブー視されている。生命維持措置の中止に関する法案は、強い反対により未だ提出されていない。
医療現場の実態: 患者が希望しても、起訴を恐れて人工呼吸器などの生命維持治療を中止することは、実際にはほとんど不可能となっている。
* 病院に入院していた末期がんの患者に塩化カリウムを投与して死に至らしめたとして、担当の内科医で大学助手が殺人罪に問われた平成3年(1991年)の刑事事件。裁判では医師による安楽死の正当性が問われた。平成7年3月の判決で被告人は有罪(懲役2年執行猶予2年)となった(確定)。
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