2025年5月16日 NEWS DAILY CONTENTS COMMUNITY インタビュー

アカデミア探訪 4 エグゼクティブインタビュー 公益財団法人 大阪産業局 スタートアップ支援事業部 国際・広域担当部長 中村 奈依(なかむら なえ)

関西の研究者たち、ボストンとNYでビジネスチャンスを探る
関西スタートアップアカデミア・コアリション(KSAC)

大阪イノベーションハブを拠点にスタートアップの創出や成長を支援する取り組みを主に担当。現在はスタートアップのグローバルな成長を目指し、海外の支援機関とのネットワーク構築や、海外展開プログラムの企画・運営に注力。また、大阪・関西のスタートアップ・エコシステムを海外に向けて発信するPR活動を通じて、グローバルエコシステム拠点都市としての形成・発展を促進する役目も担っている。

バイオ・ライフサイエンス分野で海外での事業化を検討している研究者やそのチームメンバーを対象に、アメリカ東海岸の事業会社やVCなどとのネットワーク構築、また事業化に向けたスキルや知識を習得していただくのが目的です。バイオ・ライフサイエンス分野の研究者たちの海外進出を後押しする「KSACボストン/ニューヨークプログラム」の一環として企画しました。

ニューヨークでは、日系VCのMonozukuri Venturesとバイオ分野のVCインキュベーターIndieBio NYと連携し、KSACの研究者たちによるピッチとネットワーキングのイベントを開催しました。IndieBioの関係者やステークホルダーたちに直接アプローチでき、今後のアメリカ市場展開につながるネットワーク形成のきっかけを提供できたのではないかと思います。

市場の大きさや日本とは桁違いの投資額など、事業を爆発的にスケールアップできることです。特にアメリカの意思決定のスピード感ですね。いいモノがあり、市場と機会があればすぐに話が進み、投資を受けることができます。もし失敗したとしても、ただちに問題を解決して再挑戦できます。ヒト、モノ、カネ全てがトップクラスのアメリカですので、アメリカでの事業展開とその成功がディープ・テック・スタート・アップの成功に不可欠だと思っています。

参加者たちがいちばん求めているものはやはりネットワークでした。会社設立から資金調達、人材探し、販路拡大などのパートナー探しや、ネットワーキングイベントの情報が欲しいという意見もあり、共同研究する現地の大学や臨床試験のためのCRO、資金調達の機会、法務関係のサポート、現地の研究者・経営人材とのコネクションを求める意見もありました。その他、現地で必要な人材紹介や起業家の失敗談が聞ける交流会の開催など、さまざまな意見が出ました。海外での事業化に向けて、ネットワーキングの重要性を強く感じています。いただいた貴重な意見を基に、今後の海外プログラム企画の参考にしてまいります。

関西の研究者たちの起業をサポートしていく他にも、ビジネスの海外展開を支援するグローバル向けプログラムを積極的に増やしていく予定です。ニューヨークを含むアメリカ東海岸はディープテック分野、特にバイオ・ライフサイエンス分野に強みを発揮しているエリアです。関西の大学研究シーズの強みである、バイオ・ライフサイエンス関連の研究シーズの事業化に今後特に力を入れていくため、ボストン・ニューヨークの支援機関と連携して、研究シーズの事業化・グローバル展開に向けた支援を行っていきます。

今回のプログラムを通じて、日本の大学のテクノロジーはアメリカでも十分通用できるポテンシャルを持っていると感じました。今後も持続的にグローバルなイノベーション創出に貢献してまいりますが、関西の研究シーズをアメリカに持ち込み、アメリカ市場でスタートアップとして社会に還元するためにはニューヨークで活躍されている皆さんの力が必要です。


プログラム参加者の声

◎アメリカのエコシステムを肌で感じられる良い機会でした。エコシステムに入れると各種サポートがふんだんに受けられると感じた一方で、入れないとむしろ厳しいという印象を受けました。

◎さまざまなコネクションを構築するとても良い機会になったと思います。現地に行くとネットワーキングのスピード感も変わり、足を運ぶことの重要性を改めて感じました。

◎1週間、価値ある時間を過ごすことができました。ここで挑戦したいという気持ちが強くなりました。

横浜市米州事務所を訪問したプログラム参加者たち
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