カーネギーに歌声響く 第10回 風の環コンサート

 9.11米同時多発テロと3.11東日本大震災の被災者を支援・追悼する「第10回 風の環コンサート」が17日(日)、マンハッタン区のカーネギーホールで開催された。
 同コンサートを主催するマイク白田さん率いるジャパン・コーラル・ハーモニー「とも」と姉妹合唱団である風の環少年少女合唱団、東北大学男声合唱団、東北大学混声合唱団に加え、スペインから「サムライの末裔」といわれるハポン姓を持つメンバーを含むコロ・ダバール合唱団と、東海岸のバーバーショップ・ハーモニー・グループ(アカペラ合唱団)、アレキサンドリアハーモナイザーズも参加し、過去最大規模となった。
 ジャパン・コーラル・ハーモニー「とも」とコロ・ダバール合唱団が「アベマリア」などで共演し、歌を通した異文化交流を実現。また、2010年のヒット曲「トイレの神様」で知られるシンガーソングライターの植村花菜さんが特別ゲストとして登場し、風の環少年少女合唱団と共に「夏の思い出」などを披露した。
 東北大学混声合唱団による日本の代表的な合唱曲「大地讃頌」では共に口ずさむ観客の姿もみられ、東北大学男声合唱団は宮城県の民謡「斎太郎節」など全てアカペラで力強く歌い、観客を魅了した。
 アレキサンドリアハーモナイザーズが振り付けやダンスを交えて「ニューヨークニューヨーク」など7曲を披露すると、会場の熱気はピークに達した。
 公演後のインタビューで白田さんは、「10周年を迎えられたことに感謝している。異国の人々を歌でつなぎ、被災した方々を支援したいとの想いを次の世代にもつないでいきたい」と節目の喜びをかみしめた。
 植村さんは「(歌を聴いた)皆さんが前向きな気持ちになったらうれしい。カーネギーは大きい舞台だが、1人1人を近くに感じた」と振り返った。
 東北大学生の荒城里美さんは、「貴重な体験ができた。ステージ終了後には感動して涙する学生もいた」と明かした。
 同コンサートに毎年足を運ぶという70代の日本人男性2人は、「力強く、時にユーモアのあるステージを楽しんだ。東北大学男声合唱団の民謡はとてもかっこ良く、感動した」と話した。
 当日の募金では、4115ドル22セント(約46万2000円)が集まった。今年は、テキサス州に甚大な被害をもたらした大型ハリケーン「ハービー」の被災者へも、ニューヨーク日本商工会議所のJCCファンドを通じて義援金の一部を寄付することが決まっている。

最後は出演者全員で「上を向いて歩こう」を合唱

最後は出演者全員で「上を向いて歩こう」を合唱

風の環少年少女合唱団と植村花菜さんは、童謡「夏の思い出」と植村さんが作詞作曲した復興支援ソング「ひまわり」を歌った

風の環少年少女合唱団と植村花菜さんは、童謡「夏の思い出」と植村さんが作詞作曲した復興支援ソング「ひまわり」を歌った