進まない銃規制遺族ら「いつになったら…」

 コネティカット州ニュータウンで発生した銃乱射事件を受け、米国の銃規制強化について議論が活発に行われているなか、多くの有識者が連邦レベルでの規制強化の実現は「ほど遠い」と考えていることが分かった。
 銃規制賛成派の一人であるバラク・オバマ大統領は2008年の大統領選挙の際に、殺傷力の高い銃器の所有や販売、譲渡を禁じる法案の導入を公約に挙げていたにも関わらず、当選後は全米ライフル協会を遠ざけてしまうことを恐れ、銃規制問題の抜本的解決に取り組む姿勢を見せなかった。
 10月に行われた大統領選討論会の中でも、「米国はセカンド・アメンドメント(銃所持の権利を認める合衆国憲法第二修正条項)を信じる国であり、私も信じる」と銃所持の自由を認めつつも、「戦争のための銃器は我々には必要ない」と発言するなど、曖昧な議論を繰り広げ物議を醸した。
 世界最大の銃保有国である米国では、狩猟や護身用として銃を所有する一般家庭が非常に多く、選挙公約で銃に関する規制を掲げる候補者などは、支持率に影響するとして明言を避ける傾向にあるのも事実だ。
 惨事を受け、銃所持の反対派はこれまで以上に規制案の必要性を声高に訴えているが、例えオバマ氏が銃の規制強化を敢行したとしても、連邦議会で法案を通すのは至難のわざと言える。
 09年には民主党上院院代表のハリー・リード氏らにより銃規制案が否決されたほか、バージニア州とニューメキシコ州では、飲食店への銃の持ち込みがあらたに認められるようになった。また、ワシントンD.C.内の銃所有禁止法が最高裁判所で無効になったりと、規制緩和を支持する動きの方が目立つ。
 オバマ氏が大統領に就任して以降、学校や映画館などでの大規模な銃乱射事件が4件も発生している。20人もの幼い児童が銃社会の犠牲となってしまった今、連邦政府が動かない限り、米国に銃のない平和な日が訪れることは決してないだろう。