NY市の高校制度はマイノリティーに不利 保護者らが申し立て

 ニューヨーク市の高校教育制度が、黒人とヒスパニック系の生徒に不利な環境を作り出しているとして、保護者と活動家の団体がこのほど、米連邦政府に対し公民権に関する申し立てを行った。

 具体的な内容は「現行制度では黒人とヒスパニック系の生徒は平均成績の低い高校に振り分けられている」とするもので、連邦政府に対し、同市の高校制度の実態調査と見直しを行うことを求めている。
 申し立てを行った弁護士のウェンディー・レッカー氏は、「ニューヨーク市は人種的マイノリティーの生徒を平均的に成績の良くない高校へ送り込んでいるが、そのような学校では卒業するのがより困難になる」と指摘し、「すべての生徒に公平にチャンスを与える新しい政策が必要だ」と訴えた。

 成績のギャップの解消は市教育当局にとって長年の課題で、ブルームバーク市長主導による教育改革の主要目標のひとつでもある。2011年の統計では、公立高校を4年で卒業する生徒の割合は白人が79%、アジア系が83%であるのに対し、黒人は60%、ヒスパニック系は59%と人種によって大きく差が出ている。

 また大学進学のための学力基準を満たす生徒の割合は全体で29%だったのに対し、黒人は13%、ヒスパニック系は15%だった。さらに2010年の市全体の高校卒業率は65%だったのに対し、マイノリティーの生徒が多い高校では48%と著しく低かった。

 同市の現行制度では、公立高校への入学はこれまでの成績、州統一テストの点数、出席率、生徒の希望、学校側の空き状況のほかさまざまな要素に基づいて決定されている。以前は住んでいる地域によって入学する高校が決められていたが、現在は生徒が自分で選んだ学校に入学を申請することができるようになっている。