第21回 Falansai

ブッシュウィックで食す本場ベトナムの味

 多くのアーティストやおしゃれな若者が移り住み、昨今著しい発展を遂げているブルックリン区ブッシュウィック。いま最も注目度の高い同地にことし4月、本格ベトナム料理を提供するレストラン「Falansai(ファランサイ)」がオープンし、話題となっている。

 淡いターコイズブルーに彩られた店内には、オーナー兼シェフのヘンリーさん自らが選んだセンスの良いウッド調のテーブルや椅子が並ぶ。「おいしい食べ物を提供するのは大前提。お客さんに心地よく食事してもらうため、落ち着いた中にも家とはちょっと違った〝素敵な空間〟の演出を心掛けました」とヘンリーさん。高い天井に吊るされた鳥かごをモチーフにしたランプも、ヘンリーさんの友人の手作りなのだとか。「ラグジュアリーでなくても、人の心を温めてくれる店。そう、ブッシュウィックというネイバーフッドにうまく馴染む場所でありたい」と語る。

淡いターコイズブルーを基調としたおしゃれな店内

 料理ももちろん、手作りにこだわったぬくもりのある味ばかりが揃う。
 前菜で一番人気なのは、日本人にも広く愛されている「Summer Roll」だろう。ぷりっぷりの海老を野菜と共にライスペーパーで包んだ一品は、特製のピーナッツソースをたっぷり付けてかぶりつきたい。
 いつもとは違ったベトナム料理を試してみたいという人には、炒めたキャベツやピクルス、揚げ豆腐トマトをマスタードソースで仕上げた「Ca Chua Xao Cai Chua(写真下)」がおすすめ。一口頬張ればピクルスとトマトの酸味が口いっぱいに広がり、噛む度に新鮮な食材の旨味を楽しむことができる。

メーンコースの一番人気、 フィレミニョンをソテー した「Bo Luc Lac」

 またベトナム料理上級者なら、米国では広く食べられているキャットフィッシュを、野菜と一緒に土鍋で炊いた「Ca Kho To」はいかがだろう。土鍋のふたを開けるとたちまち湯気が上がり、さらにナンプラー(魚醤)の香りが鼻孔をくすぐる。これぞ「ザ・アジアン・テイスト」の王道だ。
 その他、バンミーやフォーなどスナック感覚で気軽に食べられるメニューのほか、豚肉や牛肉を使ったオリエンタル風ステーキなども揃う。

 地下鉄のL線沿線に住んでいる人にとっては、とりわけ嬉しい〝ブッシュウィックの新しい台所〟と言えるだろう。

Falansai
プライス $$
112 Harrison Place, Brooklyn(corner of Porter Ave)
347-599-1190
www.falansai.com