グラフィックノベルが描くNYバツイチ婚活事情「マジック・バレル」

 ロシア系ユダヤ人のアニヤ・ウリニックによるグラフィックノベル「レナ・フィンクルのマジック・バレル(魔法の樽)」が話題となっている。
 同作品は、離婚して2人の娘を持つシングルマザーの主人公レナが、オンラインデートサイトの「OkCupid」を使って婚活する過程をコミカルに描いた作品で、レナと2人の娘とのやり取りを通して登場するデートの相手全員に大変リアリティがあり、面白いと人気だという。
 例えば、婚活サイトを眺めながら「こんな相手とはデートしたくない!」と列挙される男性には、“崖登りが好きな人”“ウエットスーツを着た人”“砂漠をバックに腰布一枚でポーズするコンピューターおたく”などがおり、プロフィール写真でアピールする男性キャラクターを滑稽に描いている。
 一方、知り合った相手とデートを繰り返したレナが「男性とデートをするのは、深い友情を育む長い過程をコマ撮り写真で見ているような感じ。一晩だけの出会いは超特急の“結婚”のようなもので、求婚から破綻までを一気に経験できる」など、ほかのグラフィックノベル作者の作品を彷彿とさせる、あまり感傷的ではない表現や、「何もかも新しく輝いていた20代と違って、皆それぞれの歴史をもった人たちと出会う時期」といった内容のアメリカ婚活事情の現在をリアルに知ることのできる一冊となっている。
 大人の読者を対象に描かれ、ストーリー性に富んだコミック「グラフィックノベル」は、最近では新聞の書評欄で読み物として取り上げられている。

話題の書籍、マジック・バレル