2014年10月17日 NEWS DAILY CONTENTS

麻酔使用は母体に判断を 分娩時の影響に差はなし

 分娩時に麻酔を使用する場合、いつ麻酔使用を開始すべきかの判断は母親自身が決めるべきだとする新しい研究者の見解がこのほど発表された。
 今まで出産時の麻酔は分娩時間を引き延ばし、帝王切開に繋がりやすいと思われていたため、医師の判断に従い、使用時間を出来るだけ少なくできるよう分娩時の後半に使われていた。しかし、ヘルスケア団体The Cochrane Libraryによって発表された報告によると、麻酔を分娩の初期段階で使用しても後半で使用した場合と分娩時間の違いはみられなかったという。
 今回の研究は、シンガポールのソング医師が率いるチームによって1万6000人の女性に分娩中の初期か後期段階に麻酔を脊髄に注入し、分娩経過を観察する方法で行われた。子宮の開口部が5センチ以下の場合は初期段階、それ以上の場合は後期段階と定められ実施されたが、2つのグループに分娩時間や帝王切開の有無などに差はなく、「分娩時の初期段階に母親が麻酔の使用を要請した場合、その意思に従うべきだという結論に至った」と研究者は話している。
 この発表は長年麻酔使用の判断は母親に任せるべきとしてきた米国産婦人科団体の考えを支持するもので、ローチェスター大学医学部のセーリグマン医師は「麻酔は分娩時の後半に使用するものと訓練されてきた医師は多いが、これからは出産前に母親と話し合い、母親の意思を尊重するべきだ」と述べている。

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