障害を持つ子置き去りのまま母親を連行 逮捕した警官が規定に従わず

 逮捕された際に障害を持つ息子を置き去りにされた母親が先週、ニューヨーク市警察(NYPD)を相手取り、マンハッタン区地方裁判所に提訴した。
 ブロンクス区に住むバーナデッテ・ロバーツさん(49)は2014年2月1日、15歳の息子が非営利団体主催の韓国への交換留学に参加する資金を調達するため、マンハッタン区のブライアントパークで息子と1ドルのチョコレートバーを売っていた。息子がトイレに行きたがったので、帰り道に迷わないよう道順を教え、42丁目のドラッグストア「デュアン・リード」に行かせたところ、客を装ったステファニー・フラパトソス警官に無免許営業として逮捕され、ミッドタウン南分署に連行された。
 ロバーツさんは逮捕された際、息子が戻ってくるのを待つよう頼んだが、聞き入れられなかったという。息子は、不安障害、注意力欠如障害、学習障害を抱えており、ロバーツさんが警察からの許可を得て携帯電話に連絡するまでのあいだ、何時間も母親を探して街中をさまよい歩いていたという。
 ロバーツさんへの訴えは後に取り下げられたものの、ロバーツさんは「私と息子は精神的に傷つけられた」と語っている。
 NYPDの規定では、子どもを持つ容疑者を逮捕する際、子どもを預かる親戚や友人などの有無を確認することが義務付けられているが、フラパトソス警官はこれに従わなかった。同警官は過去にも免許を所持する露店業者を無免許営業だとして逮捕し、市は1万3000ドルの和解金を支払っている。