大好きだワン♪ 人と犬は◯◯で繋がっていた

 ニューヨーカーの中には犬好きが多く、最近は愛犬がいるので子どもはいらない、という人も多いという。米国の科学雑誌、サイエンスに掲載された麻布大学共同研究員の永澤美保氏らの論文によると、人と犬の関係は、子どもと母親の間で強い影響をもつホルモン「オキシトシン」で繋がっていることが分かったという。
 研究チームは、犬とその飼い主の30組を対象に実験を行った。内容は、互いに30分間触れあった後、それぞれ採尿をし、オキシトシンの濃度を測るというもの。その結果、飼い主を見つめる時間が長く親密な行動をとる犬は、飼い主を見つめる時間が少ない犬に比べて、オキシトシンの濃度が高くなる傾向にあった。また、飼い主にも同じ傾向が見られた。
 同実験は、犬と同じ祖先をもつ狼でも行われたが、飼育された狼と飼い主では、犬と飼い主の間で出たような結果は見られなかった。では、犬と人であれば誰でも成立するのか? 人工的に犬のオキシトシン濃度を高めても、犬が飼い主以外の人に反応して見つめることはなかった。
 オキシトシンは哺乳類が共通して持つホルモンであり、人の生活に適応する中で、犬は人と犬の間におけるこのホルモンのはたらきを強めてきたのではないか、と同研究チームは分析している。
 人の子どもと母親は、互いに見つめ合うことで親密な関係が生まれるとされ、それには哺乳類の雌が出産や授乳の際に盛んに分泌するオキシトシンが関係しているという。哺乳類は成長のペースが遅く、親が生まれた子どもに食べ物を与える。それを可能にしたのがオキシトシンの進化であり、授乳期の母親が赤ん坊に求められると母乳を出そうとするのも、その働きが影響している。また、雌の脳内では出産前後にオキシトシンが多く放出され、自分の子の匂い、姿、声を記憶し、思い出すことができるようになる。母親らしい行動をとると幸福な気分になるのも、このためだ。
 犬を子どものように可愛がる人の愛情はしっかりと犬に伝わっており、犬も飼い主になついている場合、科学的にも相思相愛といえるだろう。寂しがり屋の人には、〝飼い主は食べ物を与えてくれる存在〟と考えている猫(本紙9月18日号参照、ほっといて欲しいニャ~? 猫の本音を研究)よりも、犬の方が良いかもしれない。

PourquoiPas

参考:www.sciencemag.org/content/348/6232/333.abstract?sid=c1c57d0d-72a2-452d-bfc0-79b9a377b773