弁護士スティーブン・エプステインの知ってて安心! 法律指南 Vol. 35 ◆子どもの親権と片親の引き離しについて

 子どもの親権問題において「ベストインテレスト(最善の利益)」という、最も重要なフレーズが思い浮かびます。ニューヨーク州の裁判所においては、「ベストインテレスト・テスト(最善の利益調査)」と呼ばれる法的基準が子どもの親権を左右します。

この基準では、親権を決定するためにいくつかの質問を裁判所が義務付けています。
1)子どもにとって最善の利益とは何か
2)どちらの親が親権を持つことに適しているか
この2つの重要な質問がどの親権問題においても問われます。
 ベストインテレスト・テストは、それぞれの親と子どもとの関係を決定付けるため、家族のあらゆる事情を考慮します。それぞれの親としての能力、家庭環境、子どもの情動をコントロールさせ知性を高めさせることができる親かどうか、どちらの親が主に子どもの世話をしているか、また子どもの意向に沿えているか−。そしてその先に、「片親引き離し」があります。
 片親引き離しは、一方の親がもう片方の親から子どもを引き離そうと仕向けることで、親権問題を決定する際に重要な要因となります。これに関してはさまざまなかたちがあり、偶然または意図的に起こります。片方の親が他方の親を誹謗中傷したり、またはふとしたことで子どもが他方の親のマイナス面を耳にしてしまう場合も、片親引き離しとみなされます。例えばつい口にしてしまった悪い冗談であったとしても例外ではありません。また、一方の親がもう片方の親に対し、子どもに会ったり話さないよう指示することも、該当します。
 あるケースでは、親権を持つ母親が、子どもが父親を嫌って会うことを拒否するようになるまで、父親を遠ざけていました。この母親は子どもに対し、父親の宗教に関して悪いことを吹き込んだり、父親が養育費を支払わず、子どもに興味を持たないのらくら者であると子どもの前で話していました。父親は、子どもが自分に背くのは、母親のこれらの険悪な言動によるものだとして、親権を求め嘆願書を裁判所に提出しました。その結果、父親は裁判に勝ち、親権は母親から父親に移りました。
 裁判所は、親権と訪問権を決定する際、片親引き離しにおいて慎重に考慮しなければなりません。

この記事は、アレキサンドリア・リプトン弁護士とスティーブン・W・エプステイン弁護士によって書かれました。

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Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。

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