Dr.クララ・リー Dr.リーのデンタル日記 毎月第1火曜日掲載 Vol.57 ” Don’t wait too long. ” ” 長時間の放置は禁物”

 母親としての私の仕事の1つは子どもたちが自分のことを自分でできるように特定のスキルを教えることです。靴ひもを結んだり、簡単な料理をするのも練習がいるものです。子どもたちが小さいときから私が教えていることの1つは、自分で洗濯することです。洗濯にもいろいろな細かい順序があります。まず濃色と薄色の衣類を分け、洗濯かごを洗濯場に持って行き洗濯機の正しい設定を選び洗剤を入れる。そして洗濯が終了したら乾燥機でそれぞれの衣類に合う温度に設定して乾かす。最後に乾いた衣類をたたんで引き出しにしまいます。簡単そうに聞こえますよね?
 歯医者として私は患者さんに家庭での歯と歯ぐきの清掃方法を教えます。患者さんからよく歯垢と歯石の違いを聞かれます。答えは歯垢は汚れで、歯石はその汚れが石灰化したものです。口腔内の清掃を怠ると歯垢が歯石になってしまいます。そして患者さんの口腔内の歯石が付着した主な箇所は、歯ブラシやデンタルフロスが届きにくい場所であることが分かります。歯垢が歯石になってしまうとそれを取ることがもっと難しくなってしまいますから、就寝前の歯磨きの際には全ての歯がきちんときれいになっているか確認することが大切です。その方が歯石を取るより簡単です。
 洗濯の話しに戻りますが、洗濯機内に洗濯が終わった衣類を長時間放置しておくと臭くなってしまいます。またそれと同様に濡れた衣類を乾燥機に放置したら衣類は乾きますが臭いが付きます。物事には手順を正しくやらなければ後にやり直さなければいけないことがあります。歯の清掃時には焦らないことが大切です。そして歯の全ての面がきちんと清掃されていることを確認して下さい。私は患者さんに歯石が付着していた箇所、特にその箇所を集中して磨いて下さいという「宿題」を出しています。
 歯垢を落とすのは洗濯をするのと同じです。歯垢が固まって歯石になる、それは濡れた洗濯物を長時間洗濯機内に放置することと同じです。その衣類をきれいにするにはもっと手間がかかってしまいます。口腔内の清掃も同じことです。


Waterside Dental Care

Dr. クララ・リーClara Lee, DDS

ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院ではチーフレジデントを経験するなど、20年に及ぶ臨床経験は、一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care医院長として古山医師とともに、多くの日本人患者を治療。Dentistryをこよなく愛している。
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