飯島真由美 弁護士 Legal Cafe Vol.33 配偶者の居所が分からない場合の離婚の進め方

 結婚生活中に配偶者が家を出てしまい、その後全く居所が分からない場合の離婚はどうしたらよいでしょうか? 時々こういったお問い合わせをいただきます。離婚の手続きを始めるには、まず裁判所に申請後、訴状を配偶者に届ける(送達)必要があります。第三者による手渡しが基本ですが、それが不可能な場合は、配偶者の居所や職場の人に訴状を託すということもできます。また、そういったこと全てが不可能な場合は、裁判所の許可を得て、配偶者の家族の所在地に訴状を送る、または新聞広告にて告知するという手段もあります。
 また、最近は、以前では考えられなかった送達方法を裁判所が認めるようになってきました。例えば、メールによる送達、またはFacebookなどのソーシャルメディアによる送達です。しかし、上記を含め、基本的な送達方法以外の手段が認められるためには、まずは配偶者を探す努力(Due Diligence)をすることが必要です。例えば、以下のような方法を取る必要があります。

•配偶者の家族や共通の友人、知人多数に連絡を取る
•インターネットの調査サービスを利用、あるいは探偵を雇う
•郵便局に住所変更の申請が出ているかどうか調べる
•税金支払いの記録を調べる
•運転免許の記録を調べる

 これらを行う場合は、何月何日に誰と話したなど、全ての記録を取っておくことが重要です。こうした努力をした後、その内容を書面にまとめて、裁判所に特別な方法を許可してもらうための申請をします。申請後に裁判官によるヒアリングがあれば出廷し、さまざまな努力をしたにも関わらず、どうしても配偶者が見つからなかったという説明をします。Facebookなどのソーシャルメディアを使う場合は、アカウントが実際に配偶者のものである、また配偶者が頻繁にログインをしているなどの証明も必要になるようです。

*訴状の送達には細かい決まりがありますので、詳細に関しましてはお近くの裁判所、あるいは弁護士にお尋ねください。

 
 

今月のお店
Yours truly
8 Spring St.(bet. Elizabeth St. & Bowery)
ターメリック入りのラテなど面白いメニューのある、ノリータのカフェ。

 
 

 

飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。