元気の道しるべ Story 5 【パニック障害 】山田千鶴子さん(60)

元気の道しるべ Story 5
病気になって初めて気づくこと、始めた習慣、出会えた人。
病気をプラスに捉えたら、人生が違って見えてくる。焦らず慌てず生きましょう。

その人らしく生きていけるお手伝いができたら

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山田千鶴子さん(60)
神奈川県横浜市在住
会議通訳・翻訳家、ファカルティ・オブ・クラシカル・ホメオパシー認定ホメオパス、
日本アロマコーディネーター協会認定アロマコーディネーター
http://profile.ameba.jp/kimseng-tiara777/

環境に恵まれた学生時代
 山田さんは小中高一貫の国立大学付属校で少女時代を過ごした。当時のことを「素晴らしい先生がたに英語の基礎をみっちり仕込まれた」と振り返る。国際基督教大学(ICU)を受験し合格。ICU1年次には全員必須の英語クラスを特別に免除されるほどだった。言語学と英文学を学び、心理学を専攻し卒業。某企業に就職し海外人事課で2年間を過ごし退職した。仕事がつまらなく思えて、会社勤めが苦痛だったという。

退職後、通訳に
 退職してからしばらくの間、毎日図書館に通った。「いつも本を6冊借り、その本を抱えて木漏れ日の差し込む並木道を歩いて帰る日々の幸福感を今でもはっきり覚えている」と話す。給料取りの働き方は「性に合わない」と分かったので、通訳学校に通いプロの通訳になった。通訳が好きだったわけではなかったが、「たぶん得意だった」。
 その後は通訳兼翻訳家として、大手テレビ局などでの仕事で力を発揮した。夫の海外転勤に伴い駐妻生活も体験した。アフタヌーンティーやゴルフ三昧の日々を送りながら、「有閑マダムは私の生き方ではない。せいぜい2年が限界。絶対にまた働きたくなる」と考えていたが案の定、40歳前後でシンガポールに駐在したときには現地で通訳の仕事を再開。アジア圏において山田さんのようにトレーニングを受けた会議通訳は貴重な存在だったこともあり、政府間レベルの通訳の仕事が次から次へとやって来た。優雅な駐妻生活から一変して、トップクラスの通訳の多忙な毎日が始まったのだ。

ストレスからパニック障害に
 もともと人前に出ることが好きではないのに、だんだんと大勢の人の前での逐次通訳やパーティーの通訳まで入ってきた。のちに振り返って、「自分にとって苦手なタイプの仕事をしていた」という山田さんは、過剰なストレスからついにパニック障害を起こしてしまう。それでもスピードと正確さを求められる同時通訳をやめることはなかった。
 「仕事がらみでは車に乗れず、電車もすぐ降りてしまうので目的地に辿り着くまでに大変な時間がかかり、仕事が始まる前から疲れ果てるという日々。一番怖かったのが、会議が始まるまでの時間。開始時間が近づくにつれて手足が氷のように冷たくなり、冷や汗が流れ、同時に激しい腹痛と下痢をもよおすといった悲惨な状況でした」
 困り果てた末に中国気功やアロマテラピーなど、効くといわれるさまざまなものを試したが、アロマテラピーは緊急時にはまるで役に立たず、30歳から習っていた呼吸法で緊急時をしのいでいたが、疲労感は募るばかり。症状はどんどん悪化し、心療内科に通い薬も飲んだが、それも途中でやめてしまった。

ホメオパシーとの出逢い
 苦しい日々の中で出逢い、目が覚めるような効果があったのがホメオパシーだった。ホメオパシーは200年前にドイツで発祥、体や心の問題にも働きかけ、助けを促すとされる補完療法だ。「たった1回のレメディで、露出していた神経細胞に被膜ができて守られた感覚がした。楽になった」。1カ月で劇的な変化が起き、半年でパニック障害が完治した。そのときの感動を「魂の探しものがここにあった」と表現する。
 2008年、ファカルティ・オブ・クラシカル・ホメオパシー(FCH)創設者のロバート・ハシンガー博士のセミナーに出席。「植物・動物・鉱物などの自然物質から作られたレメディにより、人間が本来持つ自然治癒力を最大限に活性化して生体を癒す」という理論に共鳴し早速ホメオパシーの勉強を開始、11年FCHを首席で卒業した。現在はホメオパシーのコンサルテーションをする傍ら、脳外科医でもあり世界各国で30年近くホメオパスとしての経験を持つハシンガー博士のコンサルテーションの通訳も行なっている。
 「ホメオパシーは、何かの理由で少しだけ調子が狂っているLife Force(生命力)に刺激を与え、そこから先は自分自身の力で回復させるというもの。正しく使えば、別人のようにエネルギーにあふれてきます。ホメオパシーを通して、その人がその人らしく潜在能力を開花して生きていけるお手伝いができたら、と思います」

山田さんの座右の書でもあるホメオパシーの教科書

山田さんの座右の書でもあるホメオパシーの教科書

愛の波動が伝わるゴスペル
 今、熱中しているのが、1年前に始めたゴスペルだ。「楽譜なし、皆で心を合わせて魂で歌う」といったゴスペルスクールのモットーの下、ひたすら歌うという。「愛に満ちた波動が直接伝わり、歌っていると、ものすごく気持ちがいい」そうだ。
 ホメオパシーと最近のお気に入りだという物質レベルで自然治癒のスイッチを入れるとされる「アンデス生酵素」、そしてゴスペルの歌声を通して、山田さんは今日も元気に走り続けている。

山田さんの元気の道しるべ
❶ 一日最低7時間眠る
❷ アンデス生酵素で自然治癒力を高める
❸ 楽しいことを考えたりゴスペルを歌ったりして、「ご機嫌」な時間を長く作る

取材・文/渡辺奈月 ヘルス&ウェルネス・コンシェルジュ。米国でファンクショナルメディスン(機能性医学)を学び、ヘルスリトリートにも多数参加。自らの体験も含め知見を深めながら健康や心のあり方に関する情報を発信し、子どもから高齢者まで健康指導も行う。ブログhttp://gogonatural.weebly.com