飯島真由美 弁護士 Legal Cafe Vol.35 アメリカでの日本人同士の離婚について

 皆様、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 最近増えているお問い合わせで、日本人同士の夫婦が離婚する場合、日本とアメリカ(*)両方で離婚の申請をする必要があるのかというご質問があります。今回はそちらにお答え致します。

日本人同士の夫婦で日本で入籍している場合
 日本で入籍している場合は、日本国内の市区町村役場に協議離婚の申請をすることもできますし、最寄りの日本領事館あるいは総領事館に離婚届を提出することによっても離婚が成立します(詳細につきましては、大使館あるいは総領事館にお尋ねください)。時々誤解がありますが、日本での離婚はアメリカでも認められますので、再度アメリカで離婚手続きをする必要はありません(結婚についても同様です)。反対に言えば、日本での離婚は単に「籍を抜くだけ」または「形だけの離婚」ではなく、アメリカで認められる正式な離婚となりますのでご注意ください。
 また、アメリカで日本の離婚証明が必要な場合は、戸籍を英訳するか、大使館・領事館にて取得した英文のDivorce Certificateを提出すれば通常認められます。

アメリカ在住の日本人同士の夫婦で、日本で入籍していない場合
 この場合は、お住まいの州の法律に則って離婚を申請する必要があります。アメリカでは、協議離婚の場合も管轄の裁判所にて離婚手続きが行われます。

注意点
 日本での離婚がアメリカでも正式な離婚と認められるため、日本で何も条件を決めずに離婚届を出し、その後アメリカで詳細について協議をしようとしても困難になりがちです。また離婚の際の財産分与時には発生しない税金が発生する場合もありますので、専門家のアドバイスを仰いでください。ただし、未成年の子どもの親権、面会権や養育費につきましては、日本で離婚する際に詳細を決めなくても、アメリカでお住まいの管轄の家庭裁判所にて申し立てが可能です。

 
 

今月のお店
Birch Coffee
71 W. Houston St. (SoHo)
ニューヨーク市内に数店舗を展開するBirch Coffeeの
ソーホー店。小さく可愛らしい店構え。

 
 

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飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。