第9回 ドルチェとクメラさん

 クメラ悦子さんがご主人と一緒に命名した「ドルチェ」は、イタリア語で「甘い、スイート」という意味。その名の通り、スイートなドルチェについて聞きました。

クメラ悦子さん(銀行勤務。ブルックリン在住、NY在住19年)

クメラ悦子さん(銀行勤務。ブルックリン在住、NY在住19年)

——ドルチェとの出会いは?
 前々から犬が欲しいと思っていて、レスキューをしたかったのでASPCAやヒューメインソサエティーなどに行ったんですが、アパートで飼えるサイズの犬が見つからなかったんです。
 ある日近所でマルチーズを5匹連れた女性が散歩していて、かわいくて思わず「この子たちどこで手に入れたの?」って聞いたら、「私、ブリーダーなの。ちょうど2匹生まれたばかりだから見る?」と言われて、翌日、自宅ビルのロビーまで連れてきてくれたのが生後8週間のドルチェでした。トライアルで1晩過ごしてすぐ決めました。

——性格は?
 アップステートのセカンドハウスに連れて行くと、鹿や鳥を追いかけたりする野性的でお転婆な子です。私達を格付けしていて、主人は一番上、私は自分のお世話をする召使いと思っていますね。週末も朝6時には布団をはがしに来ます。トイレに行って戻ってきたら、自分はちゃっかり布団にもぐり込んで寝ているんです。でも主人が何時まで寝ていても、絶対に起こしませんからね。

ドルチェ(モーキー=マルチーズとヨークシャテリアのミックス、8歳9カ月の雌)

ドルチェ(モーキー=マルチーズとヨークシャテリアのミックス、8歳9カ月の雌)

——小型犬なので気を遣いますよね。
 実は2回ヒューメインソサエティーに駆け込んでいます。一度は、5歳のときにセントラルパークを散歩して帰宅したら、急に吐いて脱水症状を起こし、3日間入院して点滴を続けました。もう死んでしまうと思うような危険な症状でしたが、元気に「復活」してくれてほっとしました。公園で殺虫剤が付いた草を食べてしまったのかも。
 もう1回は、大きな骨付きのステーキをドルチェのためにと持って帰って、30分ぐらいしてドルチェのお皿を見たら骨ごと消えていたんです。骨はどうしたんだろうと思っていたら、夜中に吐き出して。すぐ病院に駆け込んでレントゲンを撮ったら、お腹の中に細かく裂けた骨がそのまま入っていました。骨を溶かして排出させ事なきを得ましたが、獣医さんから、骨が胃に突き刺さって穴が開くこともあると聞き、ぞっとしました。

——どんなときに癒されますか?
 ソファーに座っていると、膝の上や隣に座っていてくれるときかな。病気のときも体をぴったりくっつけて添い寝してくれます。疲れて帰ってきたときに、「おかえりー」っておもちゃをくわえて走って来る姿にも癒やされます。

——悦子さんにとってドルチェの存在は?
 家族です。家族だから、レストラン以外どこへでも連れて行きます。いつもドルチェのことが頭にあって、仕事などで帰りが遅くなるときはずっと気になってしまって。そして私が帰宅したときに絶対そこにいてくれて、必ず私の横にいてくれる、空気のような存在ですね。

 
 

【 教えて!シンゴ先生 】

アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。
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添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。
 
 
 
 
 
Q 冬の間の健康管理について教えてください。

 A  この冬は、最高気温が氷点下になった日が長く続きましたね。そんな寒い日でも、犬によっては散歩が必要な場合があります。トイレを外で済ますだけなら問題ありませんが、しばらく外を歩く場合は凍傷に気をつけた方がいいですね。予防には犬用のブーツや靴を履かせるとよいでしょう。また低体温症になるのを防ぐために、コートやジャケットを着せてあげましょう。特に小型犬や被毛が薄いタイプの犬、また心疾患のある犬は急激な温度差が苦手です。アパートの入り口付近や玄関で少し寒さに慣らしてから外に出るようにしましょう。あまりに気温が低い日は、早めに帰宅しましょう。
 気温が下がると筋肉や関節にも影響が出るため、関節炎を患っている犬は注意が必要です。寒さで関節や筋肉の動きが鈍くなり、症状が悪化する可能性があります。また路面の雪や氷に足を取られ、滑ったり転んだりしてけがをすることもありますので、安全に散歩ができる場所を選んでください。
 またこの時期は除雪用の塩が道路に撒かれており、散歩の際、足に付着しますので、帰宅後は足を洗ったり拭いたりして塩を取り除いてください。塩が付着したまま放置すると、パッド(肉球)やその周辺に炎症を起こすことがあります。
 自家用車を持つ飼い主は、ペットが不凍液を舐めないように十分注意してください。また、猫が暖かい車のボンネットに入り込んでしまうので、エンジンをかける前にボンネットを叩く「猫バンバン」を忘れずに。
 気温が下がり空気が乾燥すると、体の免疫能力は下がります。ペットの調子がおかしいと気付いたら、早めに獣医に連れて行きましょう。