東日本大震災から11日で7年となるのを前に、マンハッタン区の教会で4日、追悼式典「第7回 TOGETHER FOR 3.11」が開かれ、約440人が参加した。キャンドルを灯して約1分間の黙とうが捧げられた他、被災地からのビデオメッセージを上映。風の環少年少女合唱団による合唱もあった。 主催のAKさんは「遠く離れたニューヨークからできることは今年も心を寄せて祈ること。『忘れてないよ。これからも一緒に歩きましょう』というメッセージを伝えていきましょう」と語りかけた。
震災当時は都内で勤務、岩手県陸前高田市の友人を亡くしたというNPO法人桜ライン311代表理事の岡本翔馬さんはビデオ出演し、津波が到達した地点に桜を植えることで、次の世代が避難する目安にしてもらおうと始めた活動を紹介。「被災地の次の命を救いたい。災害を機に、自分がしっかり備えられているか考えてほしい」と呼び掛けた。
福島県立ふたば未来学園高校の関根颯姫(さつき)さん(16)は被災した生徒代表として壇上でスピーチ。当時9歳で被災し、自宅も大きな被害を受けたという。震災後、東京近郊に避難した際に放射線への誤った理解から「汚い」「福島へ帰れ」と言われ、暴力を振るわれるなどいじめを受けた経験を告白。死のうと考えたこともあったが、つらいときは「人を笑顔にするという夢」に支えられて元気を取り戻した。この経験から、個人の力では解決できない社会問題について関心を持つようになったという。「自分自身だけでなく、社会問題についても考えることができるようになってきた。紛争や差別に苦しむ人に対して、頭で理解するだけでなく、心から痛みを感じる。なんとかしていきたいと強く思う」と力強く話した。会場からは大きな拍手が贈られた。
この日の大役に自分から立候補したという関根さん。「アメリカの社会で起こっているという人種や移民への差別は、自分の経験と似ていると思う。スピーチを聞いた人に、社会問題を『自分ごと』として考えてもらいたい」と話した。

キャンドルを持って黙とうする参加者ら

スピーチする関根颯姫さん(左から3人目)

被災地への義援金を寄付する参加者ら

教会には約440人が集まった(いずれも photo: Yuriko Anzai / 本紙)
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