MET新音楽監督がゲイ 「ご法度」打開、業界に変化

 【15日付ニューヨークタイムズ】権威や伝統を重んじるクラシック音楽界では、特に指揮者が同性愛を公言することは「ご法度」だった。50年前に同性愛者の権利獲得運動「ストーンウォールの反乱」が起きたニューヨークでも同様。 私生活で同性愛関係があったという作曲家の巨匠レナード・バーンスタイン(1918〜90年)も、若い男性への性的虐待疑惑でメトロポリタンオペラ(MET)から解雇された元名誉音楽監督、ジェームズ・レバイン氏(75)も公にしてこなかった。しかし、その傾向に変化が現れ始めた。
 METの新音楽監督、ヤニック・ネゼ=セガン氏(43)は音楽家になってから一貫してゲイを公言。ビオラ奏者のパートナー、ピエール・トールビルさんの自撮り写真を自身のインスタグラムに投稿するほどだ。25年前のモントリオール音楽院での馴れ初めをインタビューで告白もしている。METゼネラルマネジャーのピーター・ゲルブ氏は「自分に対して違和感を持たないことが、力強く効果的な指揮につながっている」と指摘。自身を受け入れ、誇りを持って生きることが大切だと述べた。
 ニューヨーク・フィルハーモニックの最高責任者、デボラ・ボルダ氏も同性愛を公表、パートナーはMETの開発責任者、コラリー・タブス氏だ。ボルダ氏は「オーケストラやオペラ団体も社会の縮図。世の中の変化を映し出す」とコメントしている。

ネゼ=セガン氏(右)。本人のツイッター(@nezetseguin)より