Gulliver USA 車の豆知識 第83回 交通事故を起こしてしまったら

 米国では交通事故が多いとの話をよく耳にしますが、今月は、交通事故を起こしてしまったときの対処法についてご紹介します。
 まず何をすべきでしょう? 最初に必要なのは、「安全確保」です。理論上(セオリー)では、次に警察に連絡し、保険会社に連絡、その後レッカー業者に連絡という流れです。さて、これからお話しすることは、あくまでこれがセオリーであるとの前提のもとに読み進んでください。
 交通事故の現場処理が済んだらあとは障害保証の手続きです。分かりやすく言うと、過失の割合に応じて、相手方にいくら払うか? という交渉のステップです。米国では基本的に事故を起こした当人と相手方の保険会社とで直接交渉をします。日本のように保険会社同士で交渉を進めてはくれません。この時点で既に驚かれるかと思います。慣れない英語で専門用語の多い事故内容を説明して保険請求をしなければいけないのか…。憂鬱になりますね。
 しかし、日系の保険代理店の中には、この交渉を請け負ってくれるところもあるのです。まさに「地獄に仏、蜘蛛の糸」です。もちろん代理店もそれが本業ではないので、その代理店を通して保険を契約している場合に限られるでしょう。
 さて、保険の交渉は代理店に任せるとして、「あとは車の修理が終わるまでレンタカーでなんとかしのぐか〜」などと考えがちですが、そう簡単にはいきません。なぜなら、障害保証の交渉において重要な「ポリスレポート」の内容と「現場の証拠」が、過失割合を決める上で非常に大きな役割を担っているからです。
 「ポリスレポート」とは、現場で警察がお互いの話を聞いた現場検証を基に、加害者と被害者に分けてレポートを作成したものです。しかし、どちらが加害者なのか判断が微妙なとき、警察はどうするでしょうか? 話の整合性が高い方の言い分を優先します。ということは、英語が苦手なわれわれ日本人には相当なハンディキャップ! というより、勝ち目はほぼないことが容易に想像できます。では泣き寝入りをするか? いえいえ、そうではありません。動かぬ証拠を押さえれば良いのです。
「現場の証拠」については写真が一番です。まず、事故現場をできるだけ多方面(8方向)から、双方の車両と周りの道路状況(車線や道路標示・標識など)が入るように撮影しましょう。次に、接触箇所をズームで撮影します。ここで重要なのが、①お互いのナンバープレートが入るよう撮影し、②どちらから当たってきたのか? ③どちらが道路交通法に違反していたのか? が明確に分かるようにしておくことです。写真という動かぬ証拠さえあれば、たとえポリスレポートに事実と異なることが書いてあっても、覆すことができます。
 ちなみに、警察官の最優先業務は前述のセオリー通り、安全確保と二次災害の防止です。けが人がいない場合はその次に交通整理です。ということは、道路の真ん中で接触、立ち往生し、車両が自走できる状態なら、路肩に車を寄せるよう指示されます。このとき「写真を撮るから待って」とお願いしても、周囲の安全が確保されていない場合は聞き入れてくれません。
 安全が確保されている場合は写真を撮りましょう。ただし、間違っても高速道路など危険な場所での撮影はしないでください。映像や音声などを記録する自動車用装置、ドライブレコーダーを搭載していれば安心ですね。動画は最高の証拠になります。このドライブレコーダー、最近では電化店などで安価に手に入るようになりました。携帯アプリでも出ていますのでぜひ一度お試しください。

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