インターネット上で匿名のコミュニケーションを利用した詐欺が増えています。日本の番組でも紹介されましたが、最近、国際恋愛を装って相手から金銭を騙し取ろうとする、いわゆる「ロマンス詐欺」が急増しているようです。50代の独身女性が一番狙われやすいと聞きますが、幅広い年齢層が対象で、男性も被害に遭っています。
実際の被害例
日本在住の女性から、米国人男性から送金依頼が続き困っているとの相談を受けました。その男性とはインターネットを通して知り合ったそうです。男性は自称ニューヨーク出身のエンジニアで、石油採掘の仕事で英国に出張する際に器材を船便で送ったが、関税不足となったので資金を援助してほしいとの依頼があり、そのことをきっかけに送金が始まったようです。その後はイギリスの金融庁や国際金融基金(IMF)などの名前を使い、男性が被害者に送金しようとしたらストップオーダーが出たので、それを解くためには送金が必要などと、たびたび巧妙な手口でお金をせびられたといいます。またあるときは、自分の腎臓を売ってお金を作ろうとしたなど同情を引くような「芝居」もしたようです。結局、被害者は貯金を使い果たしてしまいました。ちなみにIMFのウェブサイトには、ストップオーダーを使った詐欺について注意を促しています。
これは典型的な例で、男性の詐欺師は、エンジニア、医師、軍人、起業家を装う場合が多く、女性の詐欺師は、学生や看護師などが多いようです。詐欺師の居住地は英国の他、シンガポール、マレーシア、ロシアなど多岐に渡り、デートサイトやフェイスブックなどの友達申請を通じての出会いがほとんどです。先の例のように税関料金の他、「両親が高齢で治療費が必要」「日本に会いに行くから航空券代を立て替えてほしい」などと言って送金を要求するようです。
この手の詐欺の被害に遭わないようにするには、まず相手の経歴を調べ、相手の写真が本人のものかどうかを確認することが重要です。また、話のつじつまが合っているか、英語圏在住なら英語はネイティブかもチェックしましょう(ただし最近は、英語の専門家を雇う詐欺師もいるそうです)。電話越しの会話でなまりが強い場合は要注意です。知り合って間もないのに関係を早急に深めようとしたら、まず疑っていいでしょう。金銭の要求が出たらすぐに関係を断ち切りましょう。怪しいと思った場合や被害に遭った場合は、連邦捜査局(FBI)に届け出ましょう。
FBI Internet Crime Complaint Center
www.ic3.gov/default.aspx
今月のお店
St Kilda Coffee
328 W. 44th St. (bet. 8th & 9th Aves.)
観光客でごった返すタイムズスクエアのそばにありながら落ち着ける、半地下のカフェ。
バターの香り高いクロワッサンが人気。
飯島真由美 弁護士事務所
mciijima@iinylaw.com / www.iinylaw.com
1350 Ave. of the Americas, 2nd Floor (at 55th St.)
NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。