MTA職員、日常的にカラ残業か 知事が捜査を要請、組合は反発

 ニューヨーク都市交通局(MTA)の一部職員に対し異常に高額な残業代が支払われていた疑惑で、アンドリュー・クオモ知事は10日、緊急会議を召集した。物理的に不可能な長さの就労時間を申告するなど、実際には働いていないのに残業手当を受け取る「カラ残業」を日常的にしていた疑いを指摘。外部の捜査官を雇い、不正があった職員には処分を下す方向。各メディアが報じた。
 非営利の権力監視シンクタンク、エンパイア・センター・フォー・パブリック・ポリシーは先月、報告書で交通当局の給与を公開。これによるとロングアイランド鉄道(LIRR)の運行責任者は昨年、残業代だけで34万4147ドル(約3840万円)を取得。MTA全体では、18年の残業代が約14億ドル(約1533億円)に及び、前年に比べ16%増えていた。
 報道によると、MTAはLIRR職員の労働時間管理に警察を送り込み捜査。外部の元検察官を捜査担当に指名するよう要請した。クオモ知事は10日の緊急会議で、カラ残業の浸透の度合いと、MTAがこれまで気づかなかった原因を調べる必要があると指摘。「働いていない時間の分まで州民の税金を受け取るのは立派な犯罪だ」と述べた。

Update 5.15

 14日付ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ニューヨーク市の地下鉄とバスに従事する従業員約3万9000人から成る全米運輸労働組合(TWU)はMTAの対応に反発。TWU国際担当トップのジョン・サミュエルセン氏は同紙に「処分は従業員を犯罪者に仕立て上げた」と述べ、ストライキも辞さないと明かした。
 一方で地元紙amニューヨークは14日、クイーンズ地区検事局がMTAのカラ残業問題の捜査に当たると報道。刑事処分を下す可能性もあるという。