Vol.60 パフォーマー 小林 直己さん

来てみれば絶対に
何かがポジティブに変わる

EXILEと三代目J SOUL BROTHERSのパフォーマーとして活動する傍ら、映画や舞台で俳優としても活動。5月初旬にマンハッタン区のメトロポリタン美術館で行われた「METガラ」に出席するため来米した。自身にとっても、活動を共にするLDHにとっても「特別な場所」だというニューヨークへの思い入れと、今後ますます力を入れていきたいという俳優業にかける思いを聞いた。

小林直己(こばやし・なおき)
1984年11月10日、千葉県生まれ。EXILE / 三代目J SOUL BROTHERSパフォーマーとして全国ツアーなど精力的に行う中、役者としても活動し、劇団EXILE公演や舞台に積極的に参加。ドラマ出演などを経て17年、「たたら侍」で映画デビュー。今後公開予定の「THE EARTHQUAKE BIRD(原題)」でハリウッドデビューを控える。LDHグループのアメリカ支社・LDH USAではクリエイティブ・キャリア・アドバイザーとして、さまざまなプロジェクトにおいてプロデュースを行っている。身長187センチ。
EXPG NYC: www.expg-ny.com/welcome

−小林さんにとってニューヨークはどのような場所ですか?

アーティストとしても役者としてもすごく刺激をもらえる街。大好きです。僕にとって初めての海外もニューヨークでした。ダンスを始めて間もなかった19、20歳ぐらいのころ、ダンスの「カルチャー」が生まれた場所を実際に見て、体験したいと思って1年間アルバイトをしてお金をためて来たんです。ニューヨークではユースホステルに泊まりました。なので自分にとっては特別な場所です。
そのときの目的はダンスにとどまらず、街自体を体感して、空気を味わい、ここで暮らす人たちを肌で感じることでした。今回はMETガラの他に、現地のジャーナリストや雑誌関係者とミーティングをかなり行いました。映画業界、ファッション業界で働く人ととにかく会ってみて、お互いの空気を感じ合い、僕の思いを感じてもらっています。仲間となって一緒に動いていくために。そういう意味では当時から目的は変わらないですね。

−ニューヨークのダンスの「カルチャー」とは、どういうものですか?

北米での初めてのEXPGの場所はここニューヨークです。それには理由があって、LDHのもととなったEXILEというグループが、一番インスパイアされたダンスが、ニューヨークの人たちが作った90年代のダンスなんです。そこからEXILEの踊りが生まれている部分も大きいです。
北米でEXPGをやるなら、何よりもここニューヨークで、その「レジェンド」と言われる人たちと共にカルチャーを盛り上げコラボレーションしていける場所を作りたいという思いがありました。

−小林さん個人としてもニューヨークを拠点に動いていくつもりですか?

僕は個人的に米国移住も含め視野に入れていて、演じることにもっとフォーカスしていこうという思いなんですね。去年、米国のNetflixと一緒に映画の仕事をして、今後公開する予定で進んでいます。今後は拠点を米国に移して、俳優として挑戦していきたいです。
拠点に考えているのはニューヨークとロサンゼルス(LA)です。俳優の勉強はLAを中心にやってきました。LAは映画業界が強いですね。ニューヨークは逆にシアター(演劇)が強い、アートも強いと感じています。
ニューヨークは出会いもあればチャンスも多くあるところだと思います。映画だと今、アジア人俳優が注目されているし、全員が多様性を考えながら作品を作っている中、そのアジア人への注目を良い意味で利用できるように、これから頑張っていきたいと思ってます。


−EXPGでは初心者向けダンス教室も開催していますが、なかなか踏み出せない人へのアドバイスはありますか?

生活の中で良いこともあれば悪いこともあります。汗をかくって、悩みを単純に解決する方法だと思うんです。汗をかくと、悩んでいたことも短時間で、なんか「いけるかも」って思えるんですよね(笑)。
「ダンスを習いにいく」と構えるんじゃなくて、音を楽しんだり体を動かしたりして、翌日気分よく会社に行くための1つみたいに思ってもらえればうれしいです。
こちらで仕事されている人で同じような環境にあって、同じような悩みを持つ人も集まります。悩みを共有するだけでも、コミュニティーとしての魅力がある場所です。ニューヨーク校って何が良いかって言うと、みんな笑顔なんですよ。みんな笑顔でウェルカムなんで、それだけを味わいに来てもいいのでは。絶対に明日から何かがポジティブに変わっているんで。

−ニューヨークのコミュニティーに興味があるとお聞きしました。

僕は英語を勉強したり、現地のプロダクションと仕事をしたりする中で、今まで逆に「日本人」であることに捕われていたと思うんです。でも今は少し肩の力が抜けて、いろいろな機会をいただけるようになりました。
人間ってひとりじゃ頑張りきれないじゃないですか。僕自身も、いろんな方々にひっぱり上げてもらいました。自分が頑張ったなんてひとことも言えないですけど、でも唯一言えるのは、人に恵まれてきたと思うんです。共に夢を叶え合うような関係値が作れたら。なので、ぜひ、ニューヨークでも仲間が欲しいんです。
国籍は問わないですがもちろん、まずは日本の方々に応援してほしいですし、応援したいです。皆さんとお互いにスクラムを組んで行けば、できないことはないんじゃないかと。これが僕、EXILEや三代目、LDHで一番学んだことでした。
誰もひとりでは絶対に生きていけない。生きていない。そんな思いの中で、皆さんとコミュニティーを作っていけたら、と願っています。いつかイベントなどもやれたら良いですね。

EXPGニューヨーク校を視察する小林さん