「国に帰れ」発言のルーツNYに トランプ氏の不動産事業で人種差別疑惑

 民主党下院の非白人女性議員4人に対し、「もといた国に帰れ」と発言し物議を醸したトランプ大統領。ブルックリン区を拠点に不動産事業に携わっていた1970年代、人種差別を行った疑惑が持たれていた。ニューヨークタイムズが18日、報じた。
 73年10月、トランプ氏が代表を務めていたトランプ・マネジメント・コーポレーションが人種差別の疑いで連邦当局に起訴された。内容は同社が管理していた、ブルックリン区とクイーンズ区のアパート39棟で、部屋を探していた黒人に対し入居を妨げるなど嫌がらせを行ったというもの。トランプ氏は当時、起訴について、「まったく馬鹿げている」と否定していた。
 70年代、市では人口が著しく減少したが、マイノリティーの人口は増加。特にブルックリン区では、黒人住民の占める割合が、70年には全体の4分の1に、また80年代には3分の1へと激増していた。同紙によると白人住民は、移住してくる黒人住民に領域を侵害されたように感じ、コミュニティーから除外するなどの嫌がらせをしていた。嫌がらせは、トランプ氏のオフィスがあった同区南部の地域で頻発していたという。
 同紙は今回問題になったトランプ氏の「もといた国に帰れ」発言の本質はこの時代のニューヨークから来ていると指摘。「ある時代のある場所で正当化された権力や居心地の良さ、発言の権利が普遍化されるべきではない」と伝えた。
 トランプ・マネジメント・コーポレーションに対する起訴は、同社所有の全アパートでの人種差別廃止を約束する。