「ビル衝突死防止」法案にノー クオモ知事、市条例案は採択へ

 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は20日、鳥のビル衝突死を防ぐ保護法案「バード・フレンドリー・ビルディング・カウンシル・アクト」設立に拒否権を発動した。カーブドニューヨークが21日、報じた。
ニューヨーク市内でビルの窓ガラスに衝突して死ぬ鳥の数は年間9万から23万羽に上ると推定されている。
 今春、州議会を通過した同法案は環境保護局(DEC)の中に専門家15人から成る委員会を設置し、野鳥保護の観点からビルの構造を研究し規制することを盛り込んでいる。
 知事は拒否権発動の理由を、委員会を設立したとしても経費がかかるだけで「この分野の研究がこれ以上進歩するとは考えられない」としている。
 専門家によると、衝突死を防ぐには、野鳥の生息地や建物の構造によってそれぞれ修正点が異なるため「万能策」はないという。新築ビルに衝突防止策を施すことは比較的たやすいが、既存のビルを改築するのには莫大な費用がかかる。
 マンハッタン区のジャビッツセンターでは、衝突防止用のガラスパネルを設置するのに5億ドル(約545億円)がかかったが、鳥の衝突が90%以上回避できるようになったという。
 一方、ニューヨーク市では、鳥の衝突事故が頻発する75フィート以下のビルに防止策を新規に設置することを義務付ける条例案が今年3月市議会に提出。近々採決の見込みだ。