連載280 山田順の「週刊:未来地図」   ニッポンの貧困、アメリカの貧困(第一部・中) 日本は7人に1人、アメリカでは6人に1人が貧困

突出して高い日米の相対的貧困率

 最新(2019年)のOECDによる相対的貧困率の統計を見てみよう。主な国の相対的貧困率は次のようになっている。( )は統計年度。

アイスランド  5.4%(2015)
デンマーク 5.6%(2016)
フィンランド  6.3%(2015)
オランダ 5.4%(2015)
フランス 8.3%(2016)
ノルウェー 8.4%(2017)
オーストラリア 9.8%(2015)
スイス 9.1%(2015)
スウェーデン 9.3%(2017)
ドイツ 10.4%(2016)
イギリス 11.9%(2017)
カナダ 12.1%(2017)
ロシア 12.7%(2016)
イタリア 13.7%(2016)
スペイン 15.4%(2016)
日本 15.7%(2015)
メキシコ 16.6%(2016)
韓国 17.4%(2017)
アメリカ 17.8%(2017)
トルコ 17.2%(2015)
イスラエル 17.9%(2017)
南アフリカ 26.6%(2015)

 これでわかるのは、欧州各国、とりわけ北欧諸国の相対的貧困率が低いことだ。それに比べて日本は15.7%、アメリカは17.8%と、OECD諸国のなかでも突出して高くなっている。その結果、日本では7人に1人が、アメリカでは6人に1人が貧困といわれている。
 ちなみに、上記以外の国で相対的貧困率がとくに高いのは、中国、インド、ブラジルという人口大国である。
 中国は28.8%、インドは19.70%、ブラジルは20.00%である。中国は1人当たりのGDPが日本の4分の1程度なので、約14億人の人口から見れば相対的貧困率は必然的に高くなる。また、ジニ係数も0.51と高い。これは、所得格差の大きさを示している。

 中国の場合、世界第2位の経済大国になったとはいえ、まだ約3分の1の人々が貧困から脱出できていないうえ、金持ちと貧困層の格差が大きいのである。
 しかし、そんな中国に比べて、日本とアメリカが同じような数値になっているのは、納得しがたいのではなかろうか。中国より10ポイント以上低いとはいえ、相対的貧困率が15%を超えている点で、先進文化国家とは言いがたい。
 ジニ係数も日本は0.34、アメリカは0.39と高い。ジニ係数が高いほど、所得の再分配における格差が大きいことを示している。ノルウェー、フィンランドなどの北欧諸国は2.5以下、ドイツ、フランスなどは3.0以下だ。
(つづく)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。
主な著書に「TBSザ・検証」(1996)「出版大崩壊」(2011)「資産フライト」(2011)「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)など。近著に、「円安亡国」(2015)「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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