「ビートルジュース」が立ち退き 前代未聞、興行収入好転にもかかわらず

 ウインターガーデン劇場を運営するシューベルトオーガニゼーションが、同劇場で上演中のミュージカル「ビートルジュース」に立ち退きを要求している。来年6月6日を最終公演日に指定し、その後は秋から始まるヒュー・ジャクマン主演作品の準備に入る予定だ。
 「ビートルジュース」は1988年公開のティム・バートン監督の同名映画を舞台化。今年4月のオープン時はチケットの売り上げが週82万ドルほどだったが、6月のトニー賞授賞式で紹介されると人気に。7月中旬以降は、ほぼ毎週100万ドルの売り上げを確保。感謝祭の週は約160万ドル(約1億7400万円)と劇場の新記録を樹立した。しかし、同オーガニゼーションは、総収益が2週間連続して合意レベルを下回るショーを追放できる「停止条項」を盾にトニー賞後、早々と立ち退きを要求してきたという。
 同作品の共同プロデューサーで業界歴30年のベテラン、ハル・ルフティグさんは、ニューヨークタイムズの取材に、「上がり調子にもかかわらず追い出されるのは、前代未聞のこと」として憤りを隠せないでいる。別の劇場を探そうにも、舞台装置が凝っているため、移動の費用がかさむ。制作費2100万ドルの回収も立ち退きで水の泡に。
 同作品の制作を主導したワーナー・ブラザーズ劇場担当部門の上席副社長、マーク・カウフマンさんは、「劇場の都合で短命に終わるのはいかにも残念」と落胆している。