低迷続く酪農家にまた打撃? 生乳生産者協同組合の買収劇

 ニューヨーク州デラウエア郡ホバートで9代続く酪農家、ジョン・ランポートさんは9月、事業を閉鎖。乳牛150頭を競売にかけた。全米では牛乳の消費が減少、酪農家は過去10年で大きな打撃を受けている。酪農家を苦しめているのは、乳成分不使用や植物由来の商品の人気上昇などが原因とする見方に異を唱える酪農家もいる。ニューヨークタイムズは11日、牛乳価格下落の原因の1つは、全米最大の生乳生産者協同組合デイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ(DFA)にあるとの記事を掲載した。
 DFAは酪農家が集めた生乳を一括して乳加工会社に販売する協同組合。しかしDFAは長年、乳加工会社に巨額の投資をしており、そこにはDFAの会員の生乳も納入されている。生乳価格が上がると酪農家の利益となるが下がれば乳加工会社の利益となり、投資は利益相反を生む。DFAは現在、11月に倒産した老舗乳加工会社ディーンフーズの買収を検討。これが実現すると、DFAによる牛乳価格の操作が可能となり、酪農家がさらなる打撃を受ける可能性があるという。
 DFAは同紙の取材に、「われわれの使命は会員の酪農家に利益をもたらし、生乳の安全な加工場を確保すること」と主張している。