AI雇用ツール規制案を提出 偏見から労働者守り公正に扱うのが目的

 AIの活用範囲が増え、求職者の履歴書の審査に至るまで自動化する企業が増えている。
 これを受け、ニューヨーク市のローリー・カンボ市議会議員(民主)は先月27日、人工知能(AI)およびその他の最新技術を使用して雇用や報酬およびその他の人的資源の決定を行う企業を規制する条例案を市議会に提出した。
 労働者を偏見から守り、公正に扱うことが目的。市議会で採決され、市長が署名した場合は、2022年1月から発効となる。ウォール・ストリート・ジャーナルが同日、報じた。
 条例案では、過去1年間に反偏見テストに不合格となった雇用や報酬などの決定に使用される電子ツールの販売を禁止する。また、求職者が自動化技術を使用して評価された場合、30日以内に求職者に通知することを雇用者に義務付ける。
 市経済開発公社のカレン・バティア氏は、AI開発者は、使用するデータ全てにおいて多様性と包括性を考慮する必要があると述べた。同氏は、自動化された雇用ツールが白人男性の技術系従業員のみから集められたデータから構築されていれば、女性やマイノリティーの求職者が見落とされると指摘。同氏をはじめ市議会議員や人権擁護の活動家は、多くのAIに偏見が埋め込まれていると懸念する。
 市によると、AIやその他の自動化技術は、金融、医療、メディアなどのさまざまな業界で広く使用されている。市は昨年、市に拠点を置くAIおよび機械学習企業に対し23億ドル(約2485億円)のベンチャーキャピタル資金を提供している。