コロナ禍のNYを去る人が増加 人口減少で税収減、経済に与える影響

 ニューヨーク市ではこのところ、新型コロナウイルスの感染を恐れ市外へ転出する人々が増加。人口流出が経済に与える影響が懸念されている。ウォール・ストリート・ジャーナルが26日、報じた。
 市の引越業者、ロードウェー・ムービングの代表、ロス・スピルさんによると、市では、コロナ禍を避けるために行き先も不確定なまま、市を後にする人が増加している。引っ越し後、それまで暮らしていた家の荷物の梱包作業や倉庫への搬送管理を同社に依頼する人も多い。ロードウェー・ムービングが提供する11万平方フィート(約1万平方メートル)のストレージスペースは、ほぼ満杯状態だという。
 市では過去3年間、高い税金や、物価が高いことなどが原因で人口が減少していた。同ウイルスの影響でさらに人口減少に拍車がかかる可能性があるという。今後、市で大量の人口流出が続いた場合は、公共サービスを提供するために必要な税収を失うことになる。
 超党派のシンクタンク、センター・フォー・アーバンフューチャーのジョナサン・ボウルズ事務局長は、「多数の人々が今すぐ転出すれば、市の財政に大きな打撃を与える。市の地下鉄や公園、学校などの公共施設の維持にかかる費用の捻出が困難になる」と主張。
 2007〜09年の景気後退後、市の経済開発の促進活動を行っている市経済開発公社の元代表、セス・ピンスキーさんは、人口流失を食い止める方法について「人々が暮らす上で安全、また市が依然として価値ある場所だと確信させるため、市当局が努力すること」と指摘している。

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