連載540 山田順の「週刊:未来地図」「安価地獄」に陥った日本(1) ここまで物価が安いという現実を直視せよ!(下)

連載540 山田順の「週刊:未来地図」「安価地獄」に陥った日本(1) ここまで物価が安いという現実を直視せよ!(下)

ビッグマック指数では世界25位

 物価が高い、安いと言っても、世界各国で通貨が違うので比較しにくい。そのため、通貨の購買力を比較するために考え出されたのが、「ビッグマック指数」(BMI:Big Mac Index)である。各国のビッグマックの現地通貨価格と、アメリカのビッグマックの価格を比較して、たとえば日本でビッグマックが400円、アメリカで5ドルのときは、400/5=80となり、同じモノの価格は世界どこでも同じと仮定するなら、1ドルが80円でもおかしくないと結論付ける。それで、実際の為替レートが1ドル110円ならば、円は過小評価されているので、この後、80円に向けて円高が進 むだろうと推測する。  ただし、世界中が金融緩和をしている現在、BMIはほとんど使い物にならない。  次に2021年版BMIの一覧を示すが、単純にドル換算した各国のビッグマックの価格を比較して、日本のビッグマックがいかに安いかを確認してほしい。

1位 スイス(7.29ドル、760円、BMI+28.81%)
2位 スウエーデン(6.37ドル、665円、BMI+12.63%)
3位 ノルウェー(6.09ドル、635円、BMI+7.53%)
4位 アメリカ(5.66ドル、590円、0.00)
5位 イスラエル(5.35ドル、558円、BMI-5.52%)
6位 カナダ(5.29ドル、551円、BMI-6.77%)
7位 ユーロ圏(5.16ドル、539円、BMI-8.76%)
8位 オーストラリア(4.98ドル、520円、BMI-11.93%)
9位 デンマーク(4.90ドル、511円、BMI-13.40%)
10位 ニュージーランド(4.87ドル、508円、BMI-13.88%)
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14位 タイ(4.25ドル、443円、BMI-24.94%)
16位 韓国(4.10ドル、428円、BMI-27.55%)
25位 日本(3.74ドル、390円、BMI-33.93%)
33位 中国(3.46ドル、361円、BMI-38.88%)
【注:出典は「The Economist Big Mac index」ドル換算は2021年1月時点為替レート1ドル=104.30円を使用】 日本のビッグマックの価格(円)は、対象56カ国中25位という安さである。タイや韓国より安いのだ。

スターバックス指数では世界36位

 「ビッグマック指数」と同じように使われている指標に「スターバックス指数」がある。これは、世界76都市で販売されている、トールサイズのスターバックスラテの価格を基準にして、各国の通貨の購買力平価を比較するというものだ。

 ここでは、以下、ドル換算のランキングを示す。

 日本人の日常感覚からいって、単にコーヒーと考えれば、日本の「スタバ」のコーヒー価格は400円以上するので、けっこう高いと思うが、世界では36番目の安さである。「ドトール」なら「スタバ」より100円は安い。

1位 デンマーク、コペンハーゲン(6.05ドル)
2位 スイス、アーラウ(5.94ドル)
3位 フィンランド、ヴァンター(5.40ドル)
4位 マカオ、マカオ(5.21ドル)
5位 ルクセンブルグ、ルクセンブルグ(5.18ドル)
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16位 アメリカ、ニューヨーク(4.30ドル)
26位 中国、上海(4.08ドル)
32位 韓国、ソウル(3.88ドル)
36位 日本、東京(3.79ドル) 37位 タイ、バンコク(3.76ドル) 【出典:The STARBUCKS INDEX 2019】

 ちなみに、私はニューヨークに滞在しているときは「スタバ」に行くことがあるが、いちばん行くのは「Pret A Manger」(プレタマンジェ:略して「プレット」)だ。ここは英国発のファストフードチェーンで、コーヒーなら2ドルちょっとである。

 このランキングで3位のフィンランド、ヴァンターは、ヘルシンキの国際空港のある街で、これは空港内にある「スタバ」の価格だ。じつは、フィンランドには「スタバ」がほとんどなく、ヘルシンキには2店しかない。

 1人当たりのコーヒー消費量世界一の国なのに、これはおかしいと思ったが、「代わりにロバーツがある」と娘の夫(フィンランド人)が言う。

 ロバーツとは「Robert’s Coffee」のことで、フィンランドのナショナルコーヒーチェーン。しかし、ここのカフェラテは、なんと3.9ユーロ(約510円)もする。

 それにしても1位のコペンハーゲンの価格は、円換算で約654円だから、東京よりも約60%も高い。

(つづく)

この続きは5月24日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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