連載667 やがて世界経済の成長は止まる! 早まる人口減で2050年から投資環境は激変(上)

連載667 やがて世界経済の成長は止まる! 早まる人口減で2050年から投資環境は激変(上)

 今回は、近未来の話をしてみたい。「COP26」も大きな成果もなく終わり、日本は日本で岸田内閣がわけのわからない「新しい資本主義」を始めた。中国経済は、不動産が不良債権の山に突き当たり失速している。
 そんななかで、世界を見渡してみると、このところずっと上がり続けているNY株価だけが、突出して明るい話題となっている。しかし、これがいつまで続くだろうか?
今後も何度かバブル崩壊は起こるだろうが、世界経済はは成長し続ける。株価も上下動を繰り返しながらも上がっていくというのが、現在の「世界観」である。しかし、それも2050年まで。それ以後は、世界的な人口減で、世界経済は歴史上初めて失速する。

 

バブル崩壊は? 株価は永遠に上がり続けるのか?

 11月に入ってNY株価は3万6000ドル台に乗せて史上最高値を付けた後、好調に推移している。それに比べると、日本株は3万円台に1度は乗せたものの、その後は低迷したままだ。

 これは、日米の国力の違い、金融政策の違いから言って当然のこと。「NY株はバブルだ」という声も根強いが、実体経済から言ってバブルなのは、明らかに日本のほうである。

 ただし、NY株も、コロナによる金融バブルなのは明らか。いずれ弾けるだろうが、それがいつかは誰にもわからないし、また、弾けたとしても、その後、また上がるだろう。なぜなら、アメリカ経済は今後も成長を続けるからだ。成長を続ける限り、株価は下がったとしても長期的には上がっていく。

 そこで、思い出すのは、「投資の神様」とされるウォーレン・バフェットの投資の基本方針だ。バフェットはこう言ってはばからない。
「Our favorite holding period is forever.」(われわれが好む株式保有期間は永遠である)

 長期保有、それも“永遠”が投資だと、バフェットは言っているのだ。バフェットは、この考えをさらに強めて、こう言ったことがある。

 「NYダウは今後100年で100万ドルになる」

 しかし、こんなことは絶対にありえない事態が、いま静かに進行している。世界の経済成長は間もなく止まるのだ。

「パッシブ運用かアクティブ運用か?」

 投資の世界では、「パッシブ運用かアクティブ運用か?」ということが常に言われている。これは永遠のテーマと言っていい。

 パッシブ運用とは、株やファンドに投資する場合、あらかじめ設定されたベンチマークに対して、それと同程度の成果を目指したポートフォリオを構築して運用する方法。ベンチマークには、たとえば「S&P500」といった株価インデックスが用いられるため、「インデックス運用」とも言われる。要するに、銘柄などを選ばずに市場全体に投資する方法だ。

 これに対してアクティブ運用は、あらかじめ設定されたベンチマークに対して、それを上回る成果を目指したポートフォリオを構築して運用する。つまり、株式投資なら銘柄(「ブルーチップ」と呼ばれる優良株)を選ぶ。

 そこで、「さあどちらにすれば運用実績が上がるのか」(つまり儲かるのか)と、これまで比較されてきたが、結論としては、パッシブ運用である。現在における投資の世界の常識では、「アクティブ運用はパッシブ運用に勝てない」ということになっている。

 短期的な投機は別として、長期で見ると、たとえばNY市場で銘柄を選んで運用するより、「S&P500」に連動するファンドに投資する、日本市場なら「日経平均連動型ETF」に投資するほうがはるかに効率がいいのだ。

(つづく)

 

この続きは12月13日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。  ※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

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