連載672 やがて世界経済の成長は止まる! 早まる人口減で2050年から投資環境は激変(下2)

連載672 やがて世界経済の成長は止まる! 早まる人口減で2050年から投資環境は激変(下2)

 

生産年齢人口の減少による経済衰退

 少子高齢化の進行は、必然的に、生産年齢人口(15歳~64歳)の減少をもたらす。働く世代が減っていくのだ。そうなれば、生産も消費も減る。経済成長など望むべくもなくなる。

 国連の人口予測の中位推計を見ると、世界全体の生産年齢人口は、2020年の50億8354万4000人から、2050年には61億3052万3000人となって約10億5000万人増える。そうして、2090年に65億3630万7000人でピークを迎えるが、その後はじょじょに減っていく。

 したがって、全体の人口減少ほど脅威とは言えないが、国別に見ると、影響は大きいと言わざるをえない。

 なにしろ、人口大国の中国とインドが劇的に減っていくからだ。つまり、中国とインドの経済成長は、今後、ある時点でストップすることになる。

 人口減、とくに生産年齢人口が減ることは、国単位で考えると、国力の低下をもたらす。たとえば、誰が国を支える税金を払うのか、誰が高齢者のための医療費を払うのか、と考えてみればいい。

 すでに、日本は生産年齢人口の減少に入っており、それとともに、まったく成長できない国になってしまった。

 少子高齢化による生産年齢人口の減少と、人口そのものの減少がなにをもたらすか? なにも将来予測をしなくとも、いまの日本を見れば明らかだろう。

人口は増え続け19世紀以降に人口爆発した

 人類の歴史を振り返ると、人口は常に増加してきた。19世紀以前は明確なデータが存在しないため、研究者ごとに数値に大きな違いがあるが、おおまかに振り返ると次のような経過をたどって、世界人口は増加してきた。

 紀元前8000年ごろ(1万年前)、中東で農耕が始まったとき、人類の人口は500万人ほどだった。これは日本で言えば福岡県とほぼ同じ規模、世界で言えばシンガポール、フィンランドと同じ規模だ。

 農耕革命の影響は大きく、以後、人類人口は一気に増えて、西暦1年ごろに3億人に達する。

 その後、中世までの増加は漸減的で1650年ごろに5億人となった。食料生産技術や医学、公衆衛生の発達が遅れていた時代は餓死や病死も多く、人口増加のペースは緩やかだったからだ。

 それが、18世紀の産業革命以降は、増加ペースが加速する。1804年に10億人、1900年には16億人を突破する。そして、20世紀はまさに人口爆発の世紀となり、1950年代に25億人を突破すると、20世紀末の1987年には50億人、1999年には60億人に達した。

 国連では、世界人口が50億人に到達したと推計される1987年7月11日を「世界人口デー」としている。
 次が、ここ約200年の人口爆発の年代記である。

 1804年 10億人
 1927年 20億人
 1959年 30億人
 1974年 40億人
 1987年 50億人
 1999年 60億人
 2011年 70億人
 2021年 78億7500人(国連『世界人口白書2021』)

*参照グラフ:世界人口の歴史的推移(「Gigazine」より) https://foimg.com/00065/d4WTpe

(つづく)

 

この続きは12月17日(金)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。  ※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

<div id=”amzn-assoc-ad-e459fa14-4310-4269-ba6d-e7bc58b84060″>&nbsp;</div>
<p><script async=”” src=”//z-na.amazon-adsystem.com/widgets/onejs?MarketPlace=US&amp;adInstanceId=e459fa14-4310-4269-ba6d-e7bc58b84060″></script></p>

タグ :