第1回 「卵子凍結」というニューノーマル

 

働く女性たちのニューノーマル 
Global Fertility and Genetics

第1回 「卵子凍結」というニューノーマル

 

 社会人としてのキャリアをスタートさせ、仕事の楽しさと希望に溢れる20代。昇進や転職、起業などさらなるキャリアアップを目指す30代。今や男性だけではなく、多くの若い女性が責任のある地位に就き、さまざまな業界で活躍している。だが、30代に差し掛かる頃から働き方やワークライフバランスに悩み、キャリアを中断する女性も少なくない。

 20代、30代は女性にとって結婚、妊娠、出産というライフイベントの適齢期でもあり、「仕事か家庭か」という二択を迫られてきた。しかし近年、女性の働き方に対する企業や社会の考え方は大きく変化し、女性活躍の推進、優秀な女性リーダーの確保のために、女性が働き続けられる環境づくりや福利厚生の充実に取り組む企業も増えてきた。そして、このような現状に一石を投じたのが、将来の妊娠・出産に備えて未受精卵を凍結する「卵子凍結」だ。

 「仕事が落ち着いたタイミングで妊活すれば?」「妊娠・出産はパートナーが見つかってから」と考える女性も多いだろう。しかし現実はそう簡単ではない。なぜなら女性の妊孕力(妊娠する力)は年齢を重ねるごとに下降し、妊娠しにくくなるからだ。

 女性の卵子は胎児の頃をピークに減り始め、35歳頃から急減。同時に卵子の老化も加速。卵子の老化=質の低下は染色体異常の原因となり、流産や不妊という結果を招く。しかし、若くて健康な卵子をそのままの状態で保存し、数年後自分が望むタイミングで取り出し、妊娠・出産できるとしたらどうだろうか。卵子凍結はまさに妊娠適齢期を先延ばしにできる、現代医学が生み出したタイムカプセルなのである。

 卵子凍結は、将来の妊娠成功率を鑑み、卵子の質低下が少ない20〜30代前半に行うのが望ましい。年齢とともにもう一つ重要なのが卵子の個数。若くて健康な一つの凍結卵子から将来妊娠する可能性は2〜12%。例えば20代で卵子凍結を行った場合、15〜20個の卵子があれば約90%の確率で妊娠できることになる。また、凍結保存に掛かる保管料や、高齢出産のリスクなども考えた上でいつ融解し妊娠を試みるかなどの未来設計もある程度立てておくことが卵子凍結成功のカギとなる。

 働く女性にとって今は「仕事も家庭も」の時代。多くの女性が活躍する現代、何かを諦らめることなく、働く女性としても母としても輝ける未来をつくる「卵子凍結」が若い女性たちのニューノーマルとなりつつある。

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