1月29日 編集後記

編集部が気になった1週間の出来事

 

編集後記

 皆さん、今週も一週間お疲れさまでした。

 今週は、アダムズ市長の施政方針演説もありましたが、新年が始まり、新たな議会のもと、いろいろな取り組みが始まっていますね。アダムズ市長の演説では、市長自身が母子家庭で育ったこともあり、“働く市民のための施策”ということで、職能訓練の充実、ホームレスへの医療無償提供などを発表していました。また、環境問題に関しても、積極的な姿勢を示し、今後ゴミの堆肥化プログラムを市全域への拡大とともに、2030年までにUberなどを電気自動車化するよう求めていくことなども発表しました。

 また月曜には、市議会が、使い捨て食器の提供、禁止条例案を可決しました。テイクアウトやデリバリーの注文時に、(客からの要望がない限り、)使い捨ての食器や小袋入りの調味料、ナプキンなどを提供することを禁止し、使い捨てプラスチックの量削減を目指すとのことです。環境問題は、今年も大きなテーマとなるように思います。ちなみに、全米では、毎年400億個のプラスチック製食器が廃棄されているということで、2018年6月に発表された国連環境計画の報告書による、一人当たりプラスチック容器包装廃棄量は、アメリカが世界1位です。ただ日本は、そのアメリカに次いで2位ですので、日本としても、このトレンドは注視しておく必要があるように思います。

 また、今週火曜には、ニューヨーク州最大の労災保険会社であるNew York State Insurance Fund(NYSIF)が、コロナ後遺症(“Long COVID”)の影響を発表しました。20年1月から22年3月にかけての3千件以上のCOVIDに関する労災を調査した結果、約3分の1の労働者がコロナ後遺症に悩み、そのうちの約5分の1(全体の5%)の人は、1年以上も職場復帰ができなかったとのことでした。また男性よりも、女性の方が、後遺症に悩んでおり、高齢の方々(60歳以上)ほど、通常の労働生活に戻るのが難しかったようです。また合併症やコロナで入院を余儀なくされた方々においては、ほぼすべての人で後遺症が見られたとのことでした。ちなみに、米会計監査院の推定では、昨年3月時点で、国内の累計コロナ後遺症患者を770~2,300万人(アメリカ人口の約2-7%)と見積もっていますので、その数自体は、その後のCOVIDの拡がりを考えても、それなりに増えているものと思われます。

 またそのようななか、子供たちの精神衛生面の危機に対応するために、NYCでは今年9月の新年度から、市内の児童・生徒全員に対し、2~3分間の呼吸法を展開することを検討しているとのことです。New York TimesによるとNYCだけでも、45千人近い方が亡くなられており、身近な人を失ったトラウマや、リモート授業にともなう人間関係の希薄化やコミュニケーションの変化、その後の登校再開などの多くの急激な変化が、子供たちにまだまだ大きな精神的影響を及ぼしているとのことです。

 CDCによるとコロナ後遺症の症状は、日常生活に影響をおよぼすような疲れや倦怠感、呼吸困難、熱、頭痛、下痢などに加えて、睡眠障害や不安・憂鬱といった精神的なものまで非常に多岐にわたります。これらの後遺症は、慢性疲労症候群の症状と似ているようですが、そもそも慢性疲労症候群自体がいまだあまり理解されていない症状であることもあり、コロナ後遺症は医療関係者においても誤解することがあると書かれています。

 実際のコロナ感染にともなう後遺症だけでなく、3年あまりにおよぶ特異な環境が人々に、肉体的・精神的にも大きな影響を与えたと考えられ、前述のとおり、大人よりも、これまでの人生に占める3年間の割合が大きく、多感な時期にある子供たちの方が、それらの影響は大きかったものと思われます(周りの大人たちへの影響をもろに受ける立場にある点も踏まえて)。これらに関しては、専門家の方々のご意見とともに、後日皆さんにお伝えさせていただければと思いますが、まだまだPost-COVIDというよりは、with-COVIDとしてのケアが必要な期間のように思います。

参考)https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/long-term-effects/index.html

 まだまだ寒い日が続きますし、コロナの感染も続いていますので、引き続きご自身および周りの方々(特に、ご高齢の方々)のご健康にご注意の上、楽しい冬をお過ごしください。

 では引き続きよい週末をお過ごしください。

編集部より


今週の1枚

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