教育インタビュー KUMON North America【前編】

 

KUMON North America
副社長 Chief Support Officer 小玉 大輔さん【前編】

 

 

達成経験を持たせることで自信と意欲を育んでいく

 

KUMON North America
副社長 Chief Support Officer
小玉 大輔 さん

1996年公文教育研究会(以下、“公文”)入社。大阪本社にて人事部、教材制作部の業務経験を経て、2018年3月より現職。副社長として本社部門のマネジメント・人材育成に携わるとともに、公文式数学教材制作の経験を活かし、公文式教室指導者向けのセミナー等も実施。

 

Q. 公文に入社されたきっかけは?

私は静岡の田舎に育ち、公文を含めて塾などにも縁のない環境で育ったのですが、大学時代にお寿司屋さんでバイトをしていた時に、そこの息子さんの家庭教師を頼まれたのがきっかけですね。

私自身初めての家庭教師ということもあり、なかなか息子さんの勉強意欲を掻き立てることができませんでした。毎回いろいろと試行錯誤する中で、教え方に関して興味をもつようになり、大学卒業後に公文に就職しました。

Q. 公文の教育の特徴を教えてください。

公文式カリキュラムは、数学・言語(英語・母国語)教育を通じて、子どもたちに確かな基礎学力を身につけてもらうことを目標としています。自習形式という学習スタイルをとることで、子どもたちの“主体的に学び続ける姿勢”を育むことも目指しています。

「大学を卒業しても一生学び続ける人間に」というのが公文式の目標です。

子どもたちが意欲的に学び続けていくために、その子どもにあった「ちょうどの課題」を与えることを重視しています。子どもは問題が簡単すぎては退屈してしまい、難しすぎると自信と意欲をなくしてしまいます。

「ちょっとがんばればできる」レベルの問題を与え、達成経験を持たせることで自信と意欲を育んでいくことが公文式指導者の最大の役割です。

 

公文の特徴―

「全ての教科の土台となる数学・言語教育に絞り込んだカリキュラム」

「学ぶ力を育むことを重視した自学自習形式とそれを可能にするスモールステップの教材」

「ちょうどの課題を与え達成感・自信と更なる成長への意欲を育む学習プロセス」

 

Q. 実際に子どもたちは、どのように勉強するのでしょうか?

公文の教室には週2回通っていただきます。子どもたちが無理なく自習で学び進めていけるよう、教材は幼稚園程度の易しい問題からスタートし、高校卒業レベルの問題まで少しずつ難しくなるようにスモールステップで設計しています。

例えば数学教材であれば、「10までの数字を読む、数える」という段階から、高校3年生で学習する「微分・積分」まで約4,000枚の問題集で構成されています。

宿題に関しては、1教科1日30分ほどの量を出しています。教室に来る際に、宿題を担当者が採点し、間違えたところに関しては、しっかりと理解を深めるというプロセスを踏んでいます。

Q. 毎日30分の勉強をさせるのは、大変ではないですか?

そうですね(笑)。私も息子が2人いまして、私自身数学の教材制作にかかわっていたこともあり、実際に息子たちにも公文式勉強法を取り入れてみました。

長男の場合、3歳から小学6年生までのあいだ毎朝数学を30分ずつ勉強させたのですが、6年生卒業時には高校3年生の数学を習得するまでになりました。彼の場合は、小学2年生ぐらいに、同級生から算数ができることをほめられたことをきっかけに、自信とやる気を深め、そこからは比較的主体的に勉強してくれるようになりましたね。

一方で、やんちゃな次男の場合は、毎日勉強させるのがもう少し大変だったのですが、“お父さんの仕事がかかっているから…”と納得してもらいました(笑)。

そんな次男も、今年から高校に通うようになりましたが、今ではこの毎朝の勉強が自信になっているようで、毎朝勉強させたことをありがたがってくれています。

Q. 公文にあって、コロナの影響は大きかったですか?

そうですね。講座形式の塾と異なり、公文の学習は生徒と指導者のinteractive(相互)なやり取りの中で行われるため、対面での学習が基本形となります。申し上げたように、指導者は生徒にとって「少しがんばったらできるレベルの教材」を渡し、生徒の反応を注意深く観察します。

例えば生徒が割り算を初めて学習しているのであれば、商の立て方は理解できているか、商と割る数をかける計算が正しくできているか、引き算をしてあまりを出すプロセスができているか、あまりが割る数より小さくなければならないことを理解できているか…などのいくつかの観点をもって生徒の解答の様子を見守り、必要に応じて最小限のヒントを与えながら生徒が自力で理解できるように導きます。

ZOOM等を活用したオンライン学習でもこのような指導は不可能ではないのですが、カメラには生徒の表情か教材紙面かのどちらかしか映せないといった制約もあり、やはり対面の方が指導しやすいです。また、コロナ時は現地の学校を含めてオンラインでのコミュニケーションばかりで、「オンライン疲れ」が子どもたちにもあったように思います。

コロナ後に教室での授業が復活して、教室で学習することが緊張感を高め、集中を維持し、他の生徒さんの頑張りに刺激を受けて意欲が向上するといった効果を再認識しています。

Q. アメリカの公文は、親の駐在で渡米し、将来は日本で受験を考えているお子さんにも効果的でしょうか?

お役に立てると思います。私自身の子供も今年から日本の高校に通うようになりますし、日本の受験環境は、公文としても認識しています。

公文の“得意なところを伸ばす”という教育は、帰国生入試などでも活かせると思います。また公文では、数学を中心に1年間で学校カリキュラムの2年分を習熟することを目標としています。

例えば、小学4年生で入会されますと、当初1年はこれまでの学習の正しい理解とキャッチアップに重みを置きますが、5年生には5年生と6年生、6年生には中学1年生と2年生の範囲が習熟することを目指します。

駐在のお子さんの割合は高くないですが、日本語を話せる指導者もいますので、まずはお問合せいただければと思います。

 

公文リッジフィールドパーク教室での授業の様子

 

後編「生徒を伸ばす力の根源は指導者であり、40年後も変わらない」

 

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