アメリカ妊活便り 第7回 不妊治療を陰でサポートする「PRP」

 

ニューヨークの不妊治療クリニックGFGの
アメリカ妊活便り


第7回 不妊治療を陰でサポートする「PRP」

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「PRP」という再生医療をご存知だろうか。人は怪我をすると、しばらくして出血が止まって傷口がふさがり、やがてかさぶたとなって治癒する。この人間誰しもが持つ「治る力」は血液中に含まれる血小板の成長因子によるもので、この組織修正能力を利用したものが「PRP(Platelet-Rich Plasma=多血小板血漿)療法」である。

数年前から美容やスポーツ医学の分野において取り入れられており、近年では妊娠率向上の一翼を担う療法として、不妊治療においても大変注目されている。

卵巣を若返らせる
不妊治療において期待されている効果は二つ。一つは、卵巣機能の向上。子供を授かりたい夫婦・カップルにとって卵巣機能の低下は非常に深刻な問題で、卵巣機能が悪いと妊娠に至る数個の卵子さえ得ることは難しい。卵巣機能低下の一番の原因は年齢だが、若くてもFSH(卵胞刺激ホルモン)値が高かったり、AMH(アンチミューラリアンホルモン)値が低い場合は妊娠が困難と言われてきた。

ところが、PRPを卵巣に注入することで、成長因子が卵巣機能を若返らせ、卵子を包む卵胞の発育を促し、より多くの成熟卵子を作ることが可能に。卵子数が増えることで、体外受精での採卵数、成功率、そして妊娠率の向上が期待され、すでに多くの良い結果が報告されている。

また、40歳以下の早発閉経の方にもPRP療法は有効。卵巣機能が回復して再び卵胞が発育し、体外受精などによって自身の卵子での妊娠も夢ではなくなる。

子宮内膜の厚みを増す
PRPのもう一つの効果は、子宮内膜の厚みを改善すること。何度も流産を繰り返す、良質な受精卵を数回移植したものの着床が続かないなど、これら反復着床不全の場合は、子宮内膜の薄さが原因である可能性が高い。子宮内膜は受精卵が着床するベッドのような大切な役割を果たし、着床継続には一定の厚みが必要なのだ。

これらの症状がある場合は子宮にPRPを注入することで、子宮内膜における細胞を増殖し、血管新生を良好にし、受精卵の着床率や妊娠継続に大きな効果が発揮される。

効果が持続している間に体外受精を
治療方法はシンプルで、腕から採血した血液を専用の遠心分離機にかけ、PRPを抽出。それを卵巣もしくは子宮に注入する。自身の血液を用いた治療なので、アレルギー反応などの心配も少なく、安全性が高い。投与後すぐに劇的な変化が現れるわけではなく、どれくらいの卵子が作られているか、子宮内膜に十分な厚みができたかなどきちんと確認した後、体外受精など次のステップへと進むとよいだろう。

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