あるのか初の女性大統領誕生  ニッキー・ヘイリーはトランプに勝てるのか?(上)

あるのか初の女性大統領誕生 
ニッキー・ヘイリーはトランプに勝てるのか?(上)

(この記事の初出は2024年1月17日)

 注目の米大統領選挙の予備選が始まり、その第1弾、1月15日の共和党のアイオワ州のコーカス(Caucus:党員集会)で、ニッキー・ヘイリー候補(元サウスカロライナ州知事)が善戦した。
 この結果はある程度予想されたこととはいえ、昨年秋までは考えられなかったことだ。 
 今回の大統領選は、世論調査では、共和党はトランプで断然、民主党は現職バイデンで仕方ないとされ、「78歳vs.81歳」の「超高齢対決」に、アメリカ国民はシラケムードだったが、そこに異変が起ころうとしている。
 はたして、ニッキー・ヘイリーはこの先トランプを逆転できるのか? もし彼女が共和党の指名を獲得すれば、アメリカ初の女性大統領が誕生する可能性も出てきた。
(*本記事はいつもの記事に比べ相当長いです。2回に分けて配信と考えましたが、時局性が強いものなので1回にまとめました)

熾烈な2位争いもデサンティスに及ばず

 世界の行方を左右するアメリカ大統領選挙。その地位に誰がつくのかは、同盟国ニッポンにとって最重要課題である。そのことを意識しながら、1月15日の共和党のアイオワ州のコーカス(Iowa Caucuses:党員集会)の結果を見ると、ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley) 候補(元サウスカロライナ州知事、51歳)の善戦は、ある程度予想できたものの、日本人としては歓迎したい気持ちになる。
 トランプ前大統領ダントツの流れに一石を投じたうえ、2番手とされてきたロン・デサンティス候補(フロリダ州知事、45歳)と接戦を演じたからだ。
 例年なら、大統領選挙の年は、民主党もアイオワ州で予備選の第1弾を行っていた。しかし、今年は郵便投票に切り替えてしまい、その結果は3月5日のスーパーチューズデーに公表される。
 よって今回は共和党だけの結果だが、アイオワは人口の約 90% が白人でエヴェンジェリカル(福音派)が主流であることを考えると、インド系移民の2世であるヘイリーが善戦したことは画期的な出来事ではないだろうか。

反トランプ票がヘイリーに流れた

 以下が、共和党のアイオワ州の共和党コーカスの結果である。( )内は13日のNBCニュース/デモイン・レジスター/メディアコムによる最終世論調査の数字。

トランプ:51.0%(48%)
デサンティス:21.3%(16%)
ヘイリー:19.0%(20%)
ラマスワミー:7.7%(8%)
アサ・ハッチンソン:0.2%(1%)

 かつてはトランプにとって代わる可能性があるとされたデサンティスの人気は、思ったほど伸長しなかった。いち早くアイオワ入りし、全99郡を遊説して歩いたが、その効果はあまりなかったと言える。
 昨年2月、大統領選出馬を宣言した時点で、ヘイリーの支持率は2%にすぎなかった。それが、昨夏の候補者討論会で存在感を示し、年末には世論調査でデサンティスに迫まるまでになった。なぜ、ヘイリーはここまで躍進できたのだろうか? 
 それは、「トランプではバイデンに勝てない」と訴え続け、反トランプの姿勢をじょじょに明確にしてきたからだろう。反トランプの急先鋒だったクリス・スヌヌ候補(ニュージャージー州知事、49歳)が、アイオワ・コーカスの直前に撤退したことも大きい。
 もう1つ、アイオワが氷点下28度という記録的な寒波に見舞われたこともある。そのため、熱狂的なトランプサポーターは集会所に足を運んだが、多くの有権者は「どうせトランプだから」と足を運ばなかった。そのなかでの善戦である。

(つづく)

 

この続きは2月13日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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