幼児向けアップルソースに鉛混入
FDA、海外メーカーの検査怠る
ベビーフードなど幼児向けアップルソースに鉛が混入していた問題で、米食品医薬局(FDA)が海外製造業者の査察や輸入時の検査を怠っていたことが発覚した。
FDAは今月初め、「WanaBana」などのブランドで販売されているシナモン味アップルソースに鉛とクロムなどの有害金属が含まれていたと発表。全米44州で400人以上の子供が摂取したことを明らかにした。その後の調べで、2つの有害重金属はエクアドルのメーカー「アウストロ・フード」がシナモンを加工した際に混入した可能性が高いことが判明した。
ニューヨーク・タイムズなどの調査によると、FDAはアウストロ・フードに対する査察を5年間も怠っていた。スリランカ拠点の輸出業者に対する査察は実施したことがなく、輸入時にマイアミやバルティモアの港でもFDAが検査した形跡がなかったという。
鉛は大量に摂取すると中毒死を起こすことが知られている。体内に蓄積すると脳障害を引き起こし、発達、聴覚、言語機能などに悪影響を及ぼす恐れもある。今回のケースでも一部のパウチからな非常に高い濃度の鉛が検出されている。
FDAは事態を重く見て、「海外のパートナーとも協力し、食品の安全確保の全力を尽くす」とコメントしている。ただし、食品サプライチェーンのグローバル化進展に追いつけないのが現状。10年前には海外生産拠点の約半分を査察することができていたが、現在では対象1万9000カ所に対し、査察実施は1200カ所に過ぎない。(2月29日、インディペンデント)