(この記事の初出は2024年12月31日)
とうとう21世紀も4分の1が過ぎ、2025年を迎える。はたして2025年はどんな年になるのだろうか?
ネットを検索とすると、いろいろな見方、予測が出ているが、私の見方はただひと言、「悪い年になる」である。なぜ、そう考えるのか?
それは、世界の主なリーダーが老人ばかりだからだ。彼らが、激動する世界、変化する世界に対応し、明るい未来を構築できるとは、とてもじゃないが思えない。
主要国の国家リーダーは老人ばかり
2025年の世界は、ますます混迷を深めるだろう。世界各国が利害で対立し、分断が深まるだけ。政治も経済も、抱えている問題はなに一つ解決せず、人類が直面している最大の課題「地球温暖化」対策もまったく進まない。
ウクライナ戦争は終わらない。イスラエル・パレスチナ戦争も終わらない。終わらないばかりか拡大する可能性が高い。アメリカも欧州も、そして日本もインフレは続き、物価高騰で一般人の暮らしは窮乏する。
移民問題による社会の混乱は世界中で広がり、それに格差の拡大が輪をかけて、社会の分断が深まる。
なぜ、私はそう考えるのか?
それは、じつに単純な事実があるからだ。世界の主要国の国家リーダー(大統領、首相など)の年齢を見てほしい。ほとんどが65歳以上の高齢者(老人)である。彼らに未来をつくる力があるわけがない
78歳で就任のトランプが未来をつくれるか?
なんといっても、米国大統領のトランプが78歳というのがいちばんの問題だ。政権を「茶坊主」で固め、同盟国も敵国も関係なく関税をふっかけ、国際協調など見向きもしない。しかも、パリ協定から再離脱間違いなしでは、温暖化は加速する。いくらイーロン・マスクを味方につけても、この78歳の老人には未来を構想する力はないだろう。
はっきり言って、アメリカは「若い国」でなければならない。建国してたった248年の歴史しかない。しかも、この地上に出現した初めてのデモクラシー帝国である。これまでのほとんどの歴史において、40代、50代の大統領が国を率いてきた。
トランプ(1期)、バイデンが大統領になるまで、ロナルド・レーガンが史上最高齢で就任した大統領だった。彼の就任時の年齢は69歳である。
それが、トランプ(1期)70歳、バイデン78歳(現在83歳)、トランプ(2期)78歳だから、もう呆れるほかない。しかも、トランプは自己中の塊で、アメリカを再び偉大にするのではなく、自分を再び偉大にしようとしている(MAKE A“ME”RICA GREAT AGAIN)。
クリントン、オバマは、トランプより若い
3期続けて、大統領が史上最高齢で就任するのは、異例というか異常だ。これによって、アメリカ政治は完全に老害化し、デモクラシーのダイナミズムは失われようとしている。
歴代アメリカ大統領の就任時年齢の中央値は、55歳3カ月である。 就任時年齢がもっとも若かったのは、セオドア・ルーズベルトの42歳322日。ただし、彼はウィリアム・マッキンリー大統領の暗殺を受けての繰り上げ就任だった。選挙による大統領に限った場合、最年少はジョン・F・ケネディの43歳236日である。
初代のジョージ・ワシントンは57歳67日で就任。
名大統領とされるエイブラハムリンカーンは52歳20日、ウッドロー・ウィルソンは56歳66日、フランクリン・ルーズベルトは51歳33日で就任している。
ジョン・F・ケネディと同じく40代で就任したビル・クリントンは46歳154日、バラク・オバマは47歳169日である。驚くのは、この2人とも、現在、トランプより若いことだ。
なお、ここまで年齢について述べてきたが、アメリカ大統領に女性はいない。副大統領もカマラ・ハリスだけで、「ガラスの天井」はあまりに高い。世界各国で女性首脳が次々に生まれているのに、これもまた異常だ。選挙期間中、トランプは「ハリスはDEIだから大統領候補者になれた」と攻撃しまくった。
プーチン、習近平、ネタニヤフ、みな70歳以上
老人が国の指導者であるのは、アメリカだけではない。多くの主要国、しかも反アメリカ国家の指導者が70歳以上である。
まず、ロシアのウラジーミル・プーチンが72歳。古い地政学に凝り固まった独裁者は、意地でもウクライナとの停戦に応じないだろう。トランプ対プーチンの対決は見ものだが、着地点が見出せない。
プーチンに全面協力しているベラルーシ大統領アレクサンドル・ルカシェンコも70歳を超えている。
トランプが最大の標的としている中国の主席、習近平も70歳を超え、2025年6月には72歳になる。政敵を次々と追放し、「共同富裕」という、言葉とは裏腹の貧困化政策を取っている以上、経済低迷は続くだろう。いまさら、毛沢東思想だのと言っているのだから、時代錯誤もはなはだしい。
イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは、後期高齢者、75歳を超えた。神の国イスラエル、選ばれた民族ユダヤ人の指導者は、歳をとってますます強固な右派となっているので、戦争を止めるわけがない。国際刑事裁判所からの逮捕状など歯牙にも掛けない。
(つづく)
この続きは1月28日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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