2025年4月15日 コミュニティニュース COMMUNITY

松井秀喜さん、NYで野球教室を開催 32人が参加、今年も大盛況

元MLBニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんが5日、マンハッタンのアッパー・ウェスト・サイドで12歳以下の子どもたちを対象にした野球教室を開催した。今年初の開催となる今回は32人が参加した。

グラウンドに登場した松井さんは、自己紹介を兼ねた挨拶の後、子どもたちと一緒にグラウンドを1周してウォームアップ。ストレッチや塁間ダッシュを行うころには、子どもたちの緊張も和らぎ、いつもの野球少年の顔に戻っていた。松井さんによるスローイングや守備のデモンストレーションの後、全員でキャッチボールをし、内外野に分かれてのフィールディングドリルを行った。

野球教室の後、全員で記念撮影

休憩を挟んで松井さんのバッティングデモンストレーションが始まると、2009年ワールドシリーズMVP受賞者の凄まじいオーラに会場の雰囲気は一変。その場にいた全員が松井さんの技に引き込まれ、野球少年のような熱い眼差しでその一言一言を聞き逃すまいと固唾を呑んで注目していた。

「後ろ足にしっかりと軸と重心を保ち、ボールを最大限まで引き付ける。その後、後ろ足に貯めたパワーを使い、ボールを正確にコンタクトする」。松井さんの打撃理論は分かりやすく、至ってシンプルだ。最後に「僕の場合は」と加え、選手たちそれぞれの独自のフォームや取り組み方を尊重しつつ、自分の持論を参考として伝えた。

松井さんの教えの下、子どもたちはグループに分かれ、5つの異なる形式でのバッティング練習にローテーションしながら取り組んだ。セクションの1つには、松井さんが自らバッティングピッチャーを務めるフリーバッティングセクションもあった。

バッティングデモンストレーションではオーラに圧倒された
見事なフリーバッティングを披露する松井さん

野球教室のフィナーレを飾ったのは松井さんのフリーバッティング。すぐにライトスタンドへ豪快な一打を放つと、会場のボルテージは最高潮に。マンハッタンの空を翔ける一筋のボール、その絶景に子どもたちが「アンコール!」と声を上げると、松井さんはすかさず2本目をライトスタンドへ放った。拍手喝采の中、質疑応答とサインコーナーに移り、大興奮の中、終了した。

松井さんは(野球教室について)「野球を好きになって、楽しいと思ってもらうためにやっている。もちろんその中には“上手くなる”という意味も含まれているけれど、自分としての一番の願いはそれかなと思っています」と話した。次回は5月10日に都内で開催予定。未来のワールドシリーズMVPの誕生もそう遠くはない。

子どもたちと交流する松井さん
特大アーチに大興奮の子どもたち
笑顔で子どもたちにメッセージを送る松井さん

【取材後記】

 ワールドシリーズMVPを受賞し、日本が誇る最強スラッガーである松井秀喜さんが、子どもたちに野球を教える姿を間近で見られたことは、非常に感動的で刺激的な体験でした。教室では、基本的なキャッチボールからバッティングの指導まで、松井さんが一人一人に丁寧なアドバイスをされていました。
 特に印象的だったのは、技術面の指導にとどまらず、「野球を楽しむ心」の大切さを強調されていた点です。その言葉からは、長年のプロ野球人生を通して培われた哲学がにじみ出ており、取材中にもかかわらず思わず聞き入ってしまいました。
 また、子どもたちと同じ目線で接する姿勢や、時折見せる笑顔とユーモアからは、大人も子どもも惹きつける非常に親しみやすいお人柄を感じました。保護者や指導者からも「子どもたちの目が輝いていた」「いつもより生き生きとプレーしていた」との声が上がり、この教室が子どもたち、そして野球界にとっていかに特別で意義深い場であるかを実感しました。
 取材者としてだけでなく、野球ファンの一人として、松井秀喜さんの「野球への愛」と「未来の野球選手たちへの期待」に胸を打たれた、最高の一日でした。

取材・文・写真/
葛城大地(かつらぎ だいち)
1999年生まれ。ニューヨーク育英学園インターナショナルスクール教員・野球部顧問。京都の龍谷大平安高校硬式野球部で第88回選抜高校野球大会に出場し、ベスト4まで進出。卒業後、カリフォルニア州のモントレー・ペニンシュラ・カレッジで野球留学を経験。その後、同州サンディエゴ州立大学に転入し、卒業後はMLBのエージェント会社に勤務。退社後、現在に至る。

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