2025年4月16日 NEWS DAILY CONTENTS

NYで「日本酒」の盛り上がりが止まらない、3時間のイベントに来場者は1000人越え 日本国外最大級のイベントに行ってきた

「The Joy of Sake」にて、ブルックリン生まれの酒蔵「Brooklyn Kura」

日本国外で最大級となる日本酒イベント「The Joy of Sake」が、4月10日にニューヨークで開催された。1日限り、たった3時間のイベントに計1015人の来場者が訪れ、大盛況のうちに幕を閉じた。

「The Joy of Sake」にて、ブルックリン生まれの酒蔵「Brooklyn Kura」

◆ チケットは2日前にソールドアウト

ハワイでスタートし、今年で25周年を迎える同イベント。ニューヨークでの開催は今回が21回目となり、今回は全587種の銘柄が集結。前売りチケットは開催2日前に全てソールドアウトとなり、開催当日はオープン前から日本酒ファンが長い列を作り、持参の日本酒カップを片手に試飲に挑む来場者もちらほらいるほどの熱狂っぷりだった。

イベントの様子

同イベントの担当者は「会場を見渡すと、年齢もバックグラウンドも違う人々が一挙に日本酒のために集まっている。今年はチケットの売れ行きが例年に比べてとても早く、いかにニューヨークで日本酒への関心が高まっていきているかが分かります。10年前は日本食レストランでしか飲めなかった日本酒が、今では様々な国籍のレストランで楽しめる。今日のゲストの盛り上がり方を見ていても、これからますます日本酒の勢いは増していくでしょうね」と、うれしそうに語る。

◆ 日本酒初心者にもわかりやすい「工夫」

会場内はぐるりと試飲コーナーを囲むように、地元のレストランが一口サイズのフードを準備。和食レストラン「Sake no Hana」やノマドにある現代的な日本食が人気の「TOWA」、イーストビレッジの「Cha-An Teahouse」など、揃いに揃った日本酒に負けじとフードも本格的だ。

「Cha-An Teahouse」のティラミス
金色の星が付いている銘柄は、賞の受賞歴あり。番号の前にアスタリスクが付いているものは、現在アメリカ国内では販売されていない

そんなフードをつまみながら、試飲コーナーで日本酒を堪能するのだが・・・バラエティに富んだ銘柄が並んでいるため、各日本酒は「大吟醸」「吟醸」「純米」と種類に分けられ、「現在アメリカ国内で手に入るものか?」「これまでに賞は受賞したか?」といったランク付けもしてある。ボトルの横にはそれらが一目で分かる印もついているので、日本酒ビギナーでも気軽に飲み比べを楽しむことができる。

◆ スタッフはまさかのボランティア!?

また、各ブースには「The Joy of Sake」のスタッフが立っており、彼らに好みや気分を伝えるとおすすめの日本酒を教えてくれる。そんな彼ら、実はほとんど全員が自ら応募したボランティアというから驚きで、中には日本人女性の姿もあったので話を聞いてみた。

「The Joy of Sake」にボランティアとして参加したナツキ・サミュエル(Natsuki Samuel)さん

「日本食、日本酒が大好きで、個人的にこのイベントにも来ていたので、今回はボランティアに応募してみました」こう話すのは、ナツキ・サミュエル(Natsuki Samuel)さん。

「ゲストのみなさんは、日本人よりも日本酒に詳しいのではないかと思うくらいで。すでに何の銘柄をを選びに行ったらいいかを分かっているので、ある箇所に列が集中したりしていましたね。でも『ただ日本酒が好きだからこのイベントに来た』という人たちもいらっしゃるので、その方たちには純米大吟醸の意味からお伝えしたり、アメリカで販売されていない日本酒も沢山あるので、これ飲んだ方がいいよ!とおすすめしたりしています」

熱心に銘柄を尋ねる来場者と、ボランティスタッフ
知識豊富なボランティアスタッフたち

ナツキさんをはじめ、各ボランティの人たちの話を聞くだけでも、様々なストーリーがあった。「コロナ禍で日本酒を家で飲むようになって好きになった」「普段あまり外では飲まないけれど、今日のこのイベントには興味があったから応募してみた」「このイベントに立っていると、みんな美味しそうに日本酒を飲んでいるから、さらに自分も日本酒が好きになる」

イベントの様子

日本酒への熱い思いを持った人が集うイベント「The Joy of Sake」。今年の反響を受け、来年からもさらにパワーアップしていくだろう。

取材・文・写真/ナガタミユ

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